デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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峰津院大和局長お誕生日おめでとうございます!
ということで、去年の主ヤマ誕生日SS『ムーンストーン』の一年後のおはなし。
こうやってひとつずつ、特別な日でもそうでない日でも、うさみみに大和が贈るもので、少しずつ大和の部屋が(こころが)埋められていって、満たされるといいなと思っています。
ということで、去年の主ヤマ誕生日SS『ムーンストーン』の一年後のおはなし。
こうやってひとつずつ、特別な日でもそうでない日でも、うさみみに大和が贈るもので、少しずつ大和の部屋が(こころが)埋められていって、満たされるといいなと思っています。
「大和、生まれてきてくれてありがとう」
去年と同じく、大和の好物を集めた手製のごちそうとケーキを用意して、北斗は部屋で大和を待っていてくれた。
日付が移り変わると同時、誰よりも早く誕生日おめでとうと祝い、大和が好ましく思う優しい笑顔を向けてくれた。去年も思ったことだが、こうして祝いの言葉と心づくしの料理、そして彼がいてくれることで大和は十分に満たされている。
だというのに彼はまたごそごそと何事か、綺麗に包装のされた箱を取り出して、大和に贈ろうとしてくれるのだ。
「君が君の時間を使って、私のことを祝ってくれるだけで十二分だと思うのだがな」
昨年の生誕を祝して渡された品は、今も手袋の下、大和の左手の薬指で静かに輝いている。
「お前のものをいっぱい増やしてやるって約束しただろ。それに俺が上げたもの、お前が大事にしててくれてるの見るの楽しみなんだよ」
そこに何があるのかを理解して、北斗は大和の左手に自分の手を重ねる。それから反対の手で、今年のプレゼントを大和の右手に渡してきた。
青い視線が促してきたから、黒地に銀のリボンと咲き誇るレースの花。包装を慎重に解いて中身を取り出してみれば、
「これは……漏刻か。趣味は悪くないな」
真ん中の部分が蜂の腰の様に括れた透明な硝子円筒の中に、青や碧といった色付けのされた何種類もの液体が封入されている。硝子の表面には銀の塗料で星図が描かれた華やかな品物だ。容器全体を満たしている無色の液体と色水がまじりあうことがないのは、それぞれの比重が異なっているからだろう。砂時計の砂代わりにオイルが用いられた、時を測るタイプの水時計のようだ。
大和が容器を傾けると中の水がゆらゆらと揺れ動き、室内の明かりを徹して済んだ色影を落とす。
「そそ、水時計。ただの鑑賞品より、一応は使えるものの方が大和は喜ぶかなって。この時計の中の水は、一色一時間かけて流れていくんだ。十二色でひとめぐり。ふためぐりで一日。ひっくり返さないと止まるから、部屋に帰ってきてたら直してあげてね」
時折室内の明かりに透かして水時計を眺める大和に、北斗がしくみを口にする。
「成程、これで私の動向が君に伝わるか」
「ありゃバレた。……うん、直接会えなくてもさ、この時計が部屋で動いてくれてたら、大和はこの部屋に戻るくらいの余裕はあるんだな、元気だなってわかるから」
「そう心配するな。君のおかげで私も多少なりと休息を得たほうが効率的に動けると理解したさ。それに」
時計をくるりと返してテーブルの上に置くと、大和は静かに北斗の方へと身を寄せた。
「北斗からの贈り物を無駄に止めたままにはしておくものか。このサイズならば執務室に持って行っても良い」
「それはそれで当分部屋に戻れないって俺に筒抜けになるけどね」
北斗は青い瞳を細めて大和に顔を近づける。応えて瞼を落とした白いかおに、
「あんまり根は詰め過ぎないでね。そういう時は俺もがんばるけど」
囁きながらキスをする。
「君は本当に、世界が変わって、何年経っても変わることのない男だな」
少し眩しそうに銀色の瞳が開かれて、今度は大和から北斗に口づけを返す。
「なら、これは俺の強さのひとつなんだろう。来年も楽しみにしているといいよ」
きっとまた変わらず、こうして大和の事を祝い、愛して愛されて過ごせるように。北斗は己なりの最善を、この革められた世界で積み上げ続けるだろうから。
「おめでとう、大和。来年もその先もずっとこうやってお祝いさせてね」
「……私にできる限りは」
確実にとは言わない。それでも努めると言ってくれるのが大和なりの誠意、精一杯だと知っている。
愛しくて切なくて、だからもう一度、北斗は大和に愛しさを贈るように口づけた。
何時しかどちらからともなく接吻だけでは物足りなくなって、床にもつれ合うみたいに横たわり、二人の身体はひとつに重なって行った。
やがて二人の息遣いと睦言に満たされていく部屋の中、テーブルに置かれた時計は、一定のリズムで色鮮やかな液体を流れ落としてゆく。
はたして何色流れ終わる頃、北斗と大和が離れたのか。知っているのは彼ら自身と水時計だけ。
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