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デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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小話集から独立させて再録。
ヤマトさんにこっちを見て欲しいためだけに、他のルートを選んだ主人公の話。
再録に当たってウサミミの名前を公開しました。主人公の名前は羽月 至火(うづき いたか)。
うちのウサミミが病み切っていたり、暗黒面に堕ちてるときは概ねコイツです。

「この場を限りに、貴様らの首を掻き切って、至火の目を覚まさせてやるぞ!」

 きつく強くぎらついた激情を顕わに、こちらを敵と睨みつける目に心臓が跳ねた。
 背筋を走るのは恐怖でも嫌悪でもなく甘美な陶酔。骨が震えるほどの歓喜だ。
 嗚呼、その顔が見たかった。
 冷静冷徹の仮面と余裕をそぎ落とした白皙が、愛憎に引き攣れて歪むのがいとおしい。
 硝子細工のような美しい瞳をくすませて、オレだけを欲しいと望む姿が嬉しい。
 叶うなら、その憎悪をオレだけに向けてくれたならなお、よかったのに。
 本来、ひとを、世界を守るために振るわれるべき"龍脈(ちから)"を、私情のために使う彼は、今どんな気持ちだろう?

 傍らに最高位の霊鳥と龍の王──正面からやり会うのに向いた仲魔を呼び寄せ、障害となる悪魔たちを薙ぎ払う。
 誰よりも早く前に出ていく。一直線に大和の元へ。
 秘術によって常人を凌駕する力を得た彼から、友人たちを守るため──そんな優しい理由じゃない。
 決まってる。他の誰も傷つけさせない。誰にも傷つけさせない。
 その想いを、その攻撃を受けるのはオレだけがいい。
 大和の掲げる理想の如く、オレはオレの力で我を通し、彼に認めさせるだけだ。
 願いも、矜持も、捻じ伏せて、打ち砕いて、彼の全てを奪ってしまいたい。
 そのために、彼が望むのとは別の道を選んだ。
「大和」
 間近まで行き、狂おしいほどの愛しさを込めて彼の名前を呼ぶ。
 返礼はオレの名を呼ぶ大和の声と、同時に紡ぎ出され降り注ぐ神の炎。
 身を焼く苦痛も、彼に与えられるものならば甘やかな愉悦に変わる。
 真っ直ぐ射るようにオレを見返す双眸は、赫怒に曇ってなおこの心が芯から凍るほど綺麗だった。

 身から流れる血も構わずにオレは嗤う。
 この時をどれほど待ったか。直接ぶつかり合い、戦う瞬間に焦がれていた。
 思惑も嘘も虚飾もなく、ただ互いだけが在る刹那を。
 高鳴る鼓動を押さえ込み、彼を破るための技をオレは編み上げる。
 口付けよりも深く、愛撫よりも確実に。オレを彼に刻み付けるために。

 この恋は誤っている? ──そんなの初めから知っている。


 嗚呼、早く、早く。彼がオレだけのものになればいいのに。

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