デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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小話集から独立させて再録。
ルート分岐以前にカップル成立したらという話。局長が微妙に乙女。
ルート分岐以前にカップル成立したらという話。局長が微妙に乙女。
「好きだよ」
何時どうにかなるなんて分からないから、気持ちを自覚したその日に、一世一代の勇気を絞って想いを告げた。
「…私もだ」
予想外だったのは、色よい返事が返ってきたこと。
冷徹を絵に描いたような俺の想い人は、同性からの恋情なんてバッサリ切り捨てるかと思っていたから。
好かれている自覚は多少あったけれど、想いの方向が同じだとまで自惚れられなかった。
それでも告白したのは、断られるとしても、言わずに後悔するよりずっといいと思っていたから。
「本当に?」
「二度同じ事を言わせるのか」
聞き返すと案の定不機嫌な顔で返されたけど、どうしても聞きたかったからめげずに強請った。
「大和の言葉で、聞きたい」
「……。…君が、好きだ」
真剣な声で頼めば、大和はもう一度答えをくれた。その目尻がほの赤く染まるのがきれいだった。
触れたくてそのまま寄せた唇は、拒まれることはなかった。
互いに体面を気にする方でもないけれど、世界の存亡が懸かった現状、浮ついている訳にも行かないだろうと関係は内緒にすることを二人で決めた。
表面上は今までどおり。局長といち民間協力者。
元々俺は大和の所に行ったり呼ばれたりする機会が多かったから、多少長く一緒にいても不審には見られない。
とはいえ、想いが通じたらもう少しだけイチャイチャもしたいなんて思ってしまうのは、若いんだから多少は仕方ないと思う。
ほんとうは気持ちを受け入れてくれただけでも望外の幸福だと思うべきなんだけど。触れたい。
大和はどうなのかな。触れたくならないんだろうか。
ついつい遠目にその姿を追ってしまいながら、気になっていた。
他の目がなければ、少しは構わないんだろうか。
そんな事を考えていたら、機会は不意に訪れた。
夜、人目がない廊下で、中々独り占めできない相手を見つけたから。
我慢できなくなって捕まえてしまった。
腕をそっと引き寄せて、掌を重ね、壁際に隠れながら二回目のキスをする。
強引、だったかもしれない。拳で拒絶されるようなことはなく、腕の中に納まる大和は大人しかったけれど。
叱られることを覚悟した方がいいかもしれない。それでも、なかなか手放せなかった。
ゆっくり味わった唇を離せば、
ばか。と反論はたったその一言だけ。
銀色の瞳に睨まれたけれど声はどこか甘い。やわらかい。それ以上怒られなかった。
「次はちゃんと、声をかけてからにしたまえ」
「他は問題ないのか?」
「…触れることを我慢しているのは、君だけだと思わないことだ」
すぐに背けられた顔が愛しい。形のよい耳がほの赤く染まっていた。告白の時と似た色に。
こんなに可愛い顔が偶に見られるなら、もう暫く、秘密の恋も悪くない。
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