小話集から独立させて再録。
『捩れ狂った恋語り』と同主人公の話。微妙に病んでるのは仕様。
北斗（普段の主ヤマのウサミミ）は少しずつ局長に惹かれて行った想定ですが、
至火（ヤンデレウサミミ）は一目惚れという設定。

　冷たい硝子の眸に恋をした。

　此方に何の興味も持たないその瞳が、オレだけを見てくれたら良いのに。
　有り得ない妄想が胸を焦がす。

　何時もそうだ。惹かれれば自分だけのものにしてしまいたくなって、求めすぎて離れられてしまう。
　動物も植物も構いすぎて駄目にしてしまった。
　はじめはオレのことを好きだといってくれた人も、みんなオレの性癖を知れば重たいと疎んだ。

　何時しかオレは物言わぬ無機を、冷たい石を愛するようになった。
　それらは愛しすぎても壊れない。愛しすぎてもオレを厭わない。

　彼も、彼もそうならいいのに。
　思いきり抱き締めても、溺れるほどの愛を注いでも。
　あの凍てつき澄んだ瞳がオレを見てくれるなら。
　
　ああ、今度は誤らない。
　慎重に、丁重に、ことを進めよう。
　この想いは、悟られてはいけない。
　くるうほど、焼き焦がすほどの愛を、いつか彼が求めてくれるようになるまで。


　少しずつ君を搦め捕り、オレの所まで落としてしまおう。

[8回]