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デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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120パーセント捏造妄想垂れ流しています注意。
局長が余りにも顔~首以外全身ガード鉄壁露出皆無なので、服の下がこうだったら燃えるな、と欲望の赴くままに書きました。
設定的に6日目ミザール討伐以降なんですが正直あの辺こんな話してる余裕ないよね…ということで時系列行方不明な雰囲気主ヤマ小話です。主人公の名前は宇佐見北斗です。

基本的に北斗が主人公の話群は、分岐による可能性や変化による違いを含んだパラレルワールドとして繋がってるんですが、この話は局長の身体に捏造設定をぶち込んでいる関係上独立しています。
ただ、この設定そのものはちょっとおもしろいなーと思っているので、もしかしたらどこかで設定を引っ張った話をかくかくかもしれません。



「なあ、大和。手袋、いつも外さないのはなんで?」
 それは、ふと口を吐いて出た疑問だったが、近頃気になっている事柄ではあった。
 大和の私室に招かれ、茶を一服ご馳走になって、生まれた空き時間──問いを投げかけるには絶好の機会だった。

 北斗の質問に、水晶にも似た稀有な銀灰の瞳がゆっくりとひとつ瞬かれる。
 対面のソファに長い脚を組んで優雅に座る少年は、一度話題に上った白手袋に覆われた自らの手に目線を落とした後、すぐに北斗の方へと戻す。
「…気になるか」
「うん。潔癖症…ってワケでもないよな」
 進んで汚れる場所に飛び込むような立場の人間でもないが、必要とあらば大和は激戦区でも躊躇いなく出て行く。
 人外の御業飛び交ういくさ場では、返り血を被る機会も、己が血を流す事も少なくない。汚れを嫌う人間には辛いだろう。
 一方、大和はそのことへの嫌悪など微塵も見せたことはなかったから、北斗は目の前の彼が不潔を病的なまでに厭う性質だとは思っていない。
 潔癖という線を外すなら、装飾目的かとも思うが、それなりに寛いだ場であってさえも大和の手が曝されることはなかった。
 (もっと言うならば、彼は基本的に軍服じみたジプスの黒い制服を着崩すことさえしなかったのだけど)
 北斗もはじめはそのことを別に気にも留めていなかったが、時折私室を訪れる間柄になっても、北斗は大和の制服以外の姿を知らず、素手を見ることもなかった。
 さすがにそれは少しおかしいのではないかと思い、何か理由があるのかと問うてみることにしたのだ。
「ずっと手袋つけてると蒸れないか? 俺といる時くらい、はずせばいいのに」
 あるいは自分といる時でさえ、大和は緊張を解く事のできない臨戦態勢なのだろうか。北斗は気懸かりだった。
 いつ何があるとも知れぬ現状、有事ともなればどこに呼び出されるとも知れぬ組織トップの身であればそういう心構えでもおかしくはないのだけれど。
 そうだとしたら、少し悲しく思う。大和にだって気を抜ける時間、場所があってもいいはずだ。
 微かな願いもこめて言葉を口にすると、大和はかすかに笑みを浮かべた。
「…そんなに気になるのか?」
「気になる。大和、いつでもかっちり制服姿だし。指先まで完全防備、お仕事モードって感じだろ。休めてる感じがあんまりしない。もうちょっと胸襟広げてくれてもいいんじゃないか? 文字通りの意味で」
「私は北斗といる時、これでも寛いでいるつもりなのだがな」
「だったら嬉しいけど。俺だけダラダラしてるのも、なんかイヤだし」
「安心して良い。君は君が思っている以上に、私にとって特別な人間だ。一人で過ごしていても君と居る時ほどに気は抜けない」
「……。…そっか。なら、いい。手袋のこと、気になるけど。無理強いしない。気が向いたらでいい。…大和が外そうかなって思えたら、その時で」
「フム……」

 別に楽しいものでもないが、と前置いて、大和は常に彼の手首から指先までを覆っている白絹をあっさりと取り外しはじめた。
「ちょ、何だ。引っ張っておいてそんなあっさり……っ、て」
 別に何があるわけでもなく、偶々外す機会がなかっただけなのか。
 大和のあまりに無造作な取り外しように安心したような、拍子抜けしたような心地になりかけ──だが、手袋が大和の手をから外されていくに従い、息を飲み込んだ。

 顕わになるのは少し骨ばりほっそりとした手指。滑らかな手の甲。ほんのりと桜を帯びた爪の先まで形よくできている。
 大和は元々日本人離れして色素が薄い方だが、日を浴びていない肌は、普段から露出されている顔や首よりも更に白い。
 その、曝された肌理細やかな膚に、普通ではありえないものを見──北斗は目を見開くことになる。
 
「…何、ソレ」
 わずかに声が震えた。それくらいに、常人の肌には見慣れないものがそこにある。
 色は、星空を連想させる。暗色から透きとおるような明彩までの、玄妙な蒼いグラデーション。差し色は赤みを帯びた薄紫。
 六芒星に似た不可思議な図形を、星座めいた印章を含む意味ありげな方円を、幾重にも組み合わせた複雑精緻な紋様が、大和の両手には浮かんでいる。
 描かれている、などという生易しいものではない。
 所謂、刺青の類。極丁寧に、寸分の歪みもなく『それ』は、大和の素肌に彫り込まれていた。
 北斗の反応を伺い、大和はまたあの、あるかなきかの微笑を唇に刻んだ。
「君にはわかるのではないか。…似たものを、見たことがあるだろう」
 言われて気づく。確かに、北斗はその紋様に見覚えがあった。
 都庁の地下で見つけた巨大な方陣──ロナウドは確か峰津院のものだと言っていた──に酷似している。
 同時に、北斗は大和の手に彫られた刺青が何のためのものであるかを理解した。
「龍脈の力を使うための術式…」
「正解だ。やはり君は賢明だな。人体と龍脈の、同調と制御を援けるものだ。峰津院の血はそれ単体で龍脈の制御と行使を可能とするが、より速くより確かにちからを扱うべく智と業を研鑽し継いで来た。その一端があの方陣であり、私の身体にある刻印だ」
 大和は北斗の考えを頷いて肯定した。その正否よりも北斗にはもっと気になることがあった。
 見れば、大和の肌にある精巧な彫り物は手首よりも更に先、黒衣の袖の下に隠れた皮膚まで続いているようだ。
「もし、かして。全身そんな感じなのか…?」
「北斗が確かめたいというなら、そちらも見せるのは吝かではないが」
 大和の答え自体がすでに是だと言っているようなものだった。
 かっちりと着込まれた黒衣の下には、北斗が想像する通りの絵図が広がっているのだろう。

 逡巡は僅か。大和を知りたい。その気持ちが勝った。
「…いいのか?」
「君が望むならば」
 肯定の頷きと同時、大和は己の纏う黒外套の釦に、静かに手をかけた。

 明かりの元に少しずつ顕わになる白い肌は、どこか夢幻じみていた。
 両手に刻まれていたものと同系の紋様は、大和の身に絡みつき縛り付ける縛鎖にも似て、その肌のうえ余す事無く広がっている。
 それはまるで物質化されたしがらみそのもののようでもあった。
 薄ぼんやりと輝く刺青は大和の過ぎるほどに白い膚に馴染んで、彼をまるでこの世のものでないかのようにみせた。
 浮世離れした幽美は、生贄を、境界を越えて捧げられる物を連想させる。

 上半身から衣類がすべて取り払われたところで、思わず北斗が伸ばした腕を、大和は拒まなかった。
 方陣の浮かび上がる白い掌を取る。両の手で包み込むように触れれば、少し体温は低いがそれでも暖かく、確かに存在している、生きていると伝わる。北斗はそのことに安堵した。
 なんとなく無遠慮に触れるの憚られて、できうる限り丁寧に刻み込まれた術式をなぞっていく。指先に感じる手触りはほんの少しだけざらついて、傷や火傷の痕に似ていると思った。
「痛く、なかった?」
「さあ、忘れてしまったな。施術自体は十年以上前の話だ。最早痛みも何もない」
 必要だと言われたから受け入れた。それだけの話だったと何でもないことであるかのように言うのが、却って痛々しかった。
 術を施す際の詳細など、北斗には知る由もないが刺青の類と似たようなものなら、これだけのものを刻むのには時間も痛みも必要だったはずだ。大和もなかったとは言わなかった。
 本人が忘却しているということに対して勝手に感傷を抱くのは侮辱だろうか。
 それでも十年以上前の大和を想う。十にもならない小さな子供が、必要なこととはいえ全身を刻まれることを誰もおかしいと思わなかったのだろうか。
 答えなど解かりきっている。今の大和本人が北斗の疑問への回答そのものだ。
 誰も止めることはなかったし、それが当たり前と言う環境だったのだろう。
 そうして、少しずつ磨り潰すように人知れず犠牲を払わせながら、この国は、自分達は守られてきたのだと思うと、胸が痛くなる。
 国のために、家のために。これまでどれだけのものを強いられながら、その身を削り落としながら彼はここにいるのだろう。 

 表に出したり口にしていいものか迷ううちにも、心は蓋を仕切れず漏れ出してしまったらしい。
 何とも言えず表情をゆがめて俯いた北斗の顔を大和が覗きこむ。
「…どうして、君がそんな顔をする? 気味が悪いか?」
 余程ひどい顔をしていたらしく、逆に気に掛けられてしまえば申し訳なくなった。
 少なくとも、最後の問いだけは絶対に違うと伝えるために、北斗は上手く笑えないまま首を大きく横に振ってみせる。
「ちがうよ。…綺麗だ。でも、なんだかかなしい」
 哀しい。愛しい。かなしい。それは大和を知るほどに募る感覚だった。凜と強く、刃のように高潔で──己のことを省みない。
 抱いた思いのまま、とったままでいた手指の先に、そうっと口付けを落とす。 
 大和の双眸がゆっくりと瞬かれ、不思議そうにこちらを見る。拒絶はなかったが、くすぐったいのか大和は僅かに身じろいだ。
「肌を、血族以外に見せたのは初めてだが、そんな風に言われるとは思わなかったな。…君は本当に情が深い。私は平気だというのに。そうして、他人の痛みにまで思いを馳せる」
 生き辛くはないか、と口にして大和が小首をかしげる。純粋に己が想われているのだと思いもしないのが、せつなくて、いとおしかった。
 北斗は自分が格別優しいわけではないと思う。すべての人の痛みに目を向けられるような聖人君子でもない。
 だが、好きな相手が、重いものを背負ってきたのだと改めて視覚的な形で見てしまえば心が揺れる程度の情は、ある。
「別に誰にでも、ってわけじゃなくて。大和のことだから、だよ」
「…そうか。光栄だ。不思議だな、君がそうして想ってくれることは、悪くない」
「あのさ。前に言ったときは君の可能性が本物ならって言われたけど。力を貸すよ。これまでも、これからも大和は守るべきものを守るんだろ。だったら…俺には大和を守らせてよ」
 どんなに評価を受けているといっても、元々は一介の学生に過ぎない北斗が大和のためになにができるか。何が彼のためになるのか。考えた結果はそんな言葉になった。
 北斗はただそれだけを言うのが精一杯で、後はもう、手ごと彼の身体を引き寄せて抱き締めていた。
 淡く光る紋の浮き上がる肌を包むように、時にひどく残酷で理不尽な世界から隠すように腕を回す。
「……。守らせて、などと言われたのも初めてだ。この国を守り続けた峰津院の長である私が、今度は君に守られる、か。フフ、面白い。…君は本当に、初めてのことばかりを私に寄越す男だな。北斗よ」
 抱き込まれた大和が、腕の中で咽喉を鳴らすように笑う気配がした。ほんの少しだけ、北斗のほうへと頭が預けられる。
 僅かだけ預けられる重みが、己の背負うをものを降ろすことを良しとしない大和が見せる、きっと精一杯の甘えだった。

 これまでずっとひとり立ち続けてきた大和を、大和のことを、有形無形、過去と未来のすべての痛みから、これから先は自分が少しでも守れたらいい。守りたい。
 北斗は、つよくつよく、願わずにはいられなかった。

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