デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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主人公が女装してます注意。大団円ED後捏造。
全員回帰前の記憶有りで主人公23歳、大和22歳の冬の話。主人公の名前は因幡 初(いなば うい)。
初の背丈は局長より低い設定。
「人物シチュお題出したー」(http://shindanmaker.com/164101)から、「23歳、露出多めの姿で泣きそうな顔」とお題が出たので書いてみました。
ウサミミがヤマトと似たデザインの制服を着たら萌えるなーというのはワリとウサミミとヤマト好きさんなら思う所だと思います。
色違いというのもアリかな!と思いつつ。何となく局長はウサミミとおそろいにしたがってるといいな。
ヤマ主はあまり数を書いてないのですが、そのなかでも今のところこの話が一番甘いと思っています。
全員回帰前の記憶有りで主人公23歳、大和22歳の冬の話。主人公の名前は因幡 初(いなば うい)。
初の背丈は局長より低い設定。
「人物シチュお題出したー」(http://shindanmaker.com/164101)から、「23歳、露出多めの姿で泣きそうな顔」とお題が出たので書いてみました。
ウサミミがヤマトと似たデザインの制服を着たら萌えるなーというのはワリとウサミミとヤマト好きさんなら思う所だと思います。
色違いというのもアリかな!と思いつつ。何となく局長はウサミミとおそろいにしたがってるといいな。
ヤマ主はあまり数を書いてないのですが、そのなかでも今のところこの話が一番甘いと思っています。
どうしてこうなった。泣きたい。
来春からのジプス入局を目前に控え、制服の仕立てをすることになって。
大和は何か自分と同じデザインの服をおれに着せたかったみたいだけど、幾らジプス内が実力主義でも新入局員が局長と同じ服とか、ややこしくなる気がしたから固辞して。
譲歩の条件として一般局員と同じは不許可だと言われたから別のデザインを選ぶことになった。
──それが全ての発端だった。
わざわざおれのために用意させたらしいラフ案に申し訳なくなりつつ、ひとりでは決め切れなくて、女性陣に相談に乗って貰うことにした。
男性の相談相手が居ればもっとよかったけど、何せおれのジプス内の知り合いは大和以外は女性だけだ。
偶々休憩時間がかち合ったので、乙女さんの詰めている医療室横の仮眠室を借りて話すことにした。
雑談がてら三人は快くおれの悩みに付き合ってくれた。そこまではよかった。
…そのうち、なぜか話の流れでおれは彼女達が着ているのと同じ制服?を試しに着させられることになってしまった。
なんでそんな流れになったのかは思い出せない(デザイン画だけだとどれがいいか実感ないかもとか言ったような気もするけど判然としない)から、きっかけは本当に些細でくだらないことだったんだろう。
「初くんなら細いから入るわ?」なんてウフフと笑いながら、有無を言わせなかった乙女さんが憎い。
常識人の真琴さんは慌てて止めようとしてくれたけど、「モノは試しだよ?」と楽しげに押し切る史に勝てなかった。
「おれもう23になる立派な成人越え男子なんですけど!?」という、おれの心からの叫びも黙殺された。
ノリと勢いって本当に怖い。年上の女のひとには勝てない。
それでも真琴さんの服はまだマシだ。多少ぴったりしてるけど露出控えめだし。
問題は残りの二人だ。乙女さんはピンクナースで史はチャイナ服。どちらもはっきりいって男が着るには(色々な意味で)キツイ。
特に後者は、正直これが許されるなら、ジプス局員はみんな私服にコートを羽織るだけでなんでも許される気さえした。
「おれ配属されるの医療班じゃないんで!」と必死な言い訳を駆使することでかろうじてナースは回避できた。
だが、物凄く残念そうな顔をした乙女さんは、こっちからは逃げさせないとばかり、史のものと同じデザインのチャイナ服を強引に着せてきた。
幾らおれが18の時分から殆ど容姿に変化がない、とはいってもこの歳になって生足を曝すとか視界の暴力以外の何者でもない気がするんだけど。
「…すごいな」
「男の足とは思えないねー」
「良く似合ってるわ、初くん」
何故か女性陣の評価は上々だったのが、却って居た堪れない。いっそ笑い飛ばしてくれる方がマシだった。
褒められても全く嬉しくない。こっち、特に足を見ないで下さい。
「初、春からのアンタの制服もうこれでいいんじゃ「だが断る!」」
冗談にしても悪質な史の発言を遮り、
「日常的に女装とかないから! これ着る位なら没個性でいいから! 一般局員の制服バンザイだよ!」
抗議してからさっさと脱いでしまおうとしていた矢先のことだった。
背後で仮眠室のドアが開いた。
「…初、デザインは決まったか?」
入ってきたのは、今おれが自分の格好を一番見られたくない相手だった。タイミングが最悪だ。
何時もどおり凜と制服を着こなすジプス局長の姿が近づくと、おれは押し切られたとはいえ男のくせに女性と同じ服を着ているのが猛烈に恥ずかしくなってきた。
「ま、まだ!」
大和に笑われたり呆れられるのだけは絶対に嫌だったから、それ以上何か言われる前にと、おれは彼の横をすり抜け慌てて逃げ出した。
…人間慌てると判断能力が鈍るものだ。おれの馬鹿。
チャイナ服のまま出てきてどうするんだろう?
おれの服は逃げ出してきた部屋の中に置き去りで。しかも普段史がチャイナ服の上に羽織っているコート抜きという体たらく。今のおれは完璧に只の女装男子だ。
幾ら非常勤の民間協力者として以前から出入りがあるといっても、こんな姿を他の局員に見つかったら、捕獲されても文句いえないんじゃないだろうか?
泣きたい。とりあえず人目の少ない大時計裏に逃げ込んだ。欝だ。
「…ほんとこの後どうしよう…」
何処に行くこともできず、背景に縦線背負う勢いでぐったりと項垂れ座り込んでいたら、
「こんな所に居たのか、探したぞ」
不意に声がした。顔を上げると大和だった。
息が乱れているようなことはなかったが、それでも探してくれていたと聞いてしまえば、再度逃げ出すのは気が退けた。
とりあえず見苦しくないようにスリットからどうしても覗いてしまう脚を必死で隠しつつ、大和を見上げる。
「ごめん。格好が格好だったからさ」
「菅野や柳谷がふざけて着せたのだろう? お前も付き合いが良いというか…甘いな」
声音に嘲る響きがないのが救いだった。甘いのは大和のおれに対する態度や評価の方だと思う。
祭りでもなしにこんな格好でうろうろする二十代は普通見限ってもいい。
外見でなくて中身重視、有無を言わせぬ実力さえあればいいという、大和らしい評価基準のおかげかもしれないけど。
「駄々捏ねないで初めから大和と同じ服を選んでおけばよかったよ」
力なく笑ったら、ふわりと肩にやわらかな重みが掛けられた。視線を向ければ見慣れた黒衣。繊細な飾り紐で装飾された重厚なそれは大和のコートだ。
「実際に色々と服を着て試していたのだと聞いた。…なら、今からこれも合わせてみるといい」
「…うん」
歳を重ねて大和は、理想に尖っていた十代のあの頃より少しだけ穏やかに笑えるようになった。
稀にこうやって不意打ちのようにその微笑が向けられると心臓が跳ねる。同時に、世界を巻き戻したことを良かったと再確認できるのだ。
少なくとも、いま彼がこんな風に笑うことができるなら、あの時のおれたちは間違いじゃなかった、と。
気遣われているのだと思った。やさしくされると、おれはさっきまでとは別の意味で泣きたくなった。
大和の外套からはふわりと微かに、甘く爽やかな芳香がする。彼の匂いに気持ちが落ち着いた。
複雑な繋り方をしている淡金の紐を引っ掛けたり絡ませたりしないように苦心しながら、袖に腕を通し、釦を端まできっちりと留めて大和の前に立つ。
大和は身回り自体はおれとそう変わらない痩躯だけれど、身長はおれより高いから(あの7日間から幾らか伸びた気もする)、袖と裾がだいぶ余って一寸情けない。
今は足元まで黒い裾が伸びてくれているお陰で、チャイナ服と生足が隠れるから都合良いんだけど。
「…どう?」
ぶかぶかの袖にできるだけ腕を入れるように、精一杯に伸ばしつつ感想を求める。
目の前の相手は少々おれに甘いところがあるけれど、意見そのものは基本公平で忌憚がない。
正直あまり似合う気がしないが、衣装合わせという名目で羽織らせてくれた彼の気持ちは汲み取りたかったので。
軽く顎に手を当てる格好で、暫しの黙考を挟んでから大和は言った。
「悪くはないが、少々物足りないな。お前のトレードマークがないせいだろう」
それって、もしかしなくても。
ウ サ ミ ミ の こ と か !
「別におれ四六時中ウサミミパーカーってワケじゃないんだけどな。最近は全然着てないでしょ」
始めて出会った時に身につけていたからだろうか。
大和の中では、どうやらあの兎の耳付きフードがついた白服が強烈に印象に残っているらしかった。
「だがあの服は良く似合っていた。初のイメージにも合う」
言外にまた着れば良いのにと言われている気がしたが、10代の頃ならいざ知らず20歳を超えてアレを着るのは如何なものだろう?
あとおれ、もしかしなくてもウサギっぽいって大和に思われてる?
「複雑」
「……? 何か問題が?」
「いや別に問題ってほどでもないけど」
大和が気に入っているならまた着るの考えてもいいんだけどさ。少し懐かしいしね。
近々あのパーカーを引っ張り出してみようかと考えていたら、項の下に大和の手が伸びてきて、触れてきて、変な声が出そうになった。
「ちょ、大和! 何、どうかした?」
「このあたりに、耳のついたフードをつけさせようと思ってな。これなら完全に同一ではなくなるし良いだろう?」
大和の手に他意はなく、純粋にフードを付ける位置を探っていただけみたいだ。それにしても唐突だったから吃驚した。
始めに服が同じだとややこしくなると断ったのを、地味に気にしていたみたいだ。
「そんなにお揃いにしたかった?」
「ああ。同列の席を用意するとはいかなくとも、お前は私が認めた──私と並び立つ"唯一"だからな。せめて服位はと思ったのだ。くだらないか?」
真っ直ぐに、其処だけは歳を重ねても変わらない、綺麗に透き通る銀の瞳に見つめられて否があるわけがなかった。
「…初めからそういってくれたら良かったのに」
おれは心の底から笑って、勢いのまま大和に抱きついていた。場所も、格好も忘れてた。嬉しかったからだ。
はじめは、過分な評価と扱いは、あの災厄があったからこそだと考えていた。同年代の一般人を余り知らないからかとも思っていた。
出会ってからもう5年になるのに。その間になんだかんだと出来る範囲でみんなで色々連れ回して、彼の世界も以前より少しだけ広がったと思うのに。
未だに大和はおれを特別扱いしている。してくれている。
本当は大和からは、回帰の直後から熱烈な勧誘を受けていた。けれど、長く丁寧に返事を引き伸ばし続けたのはおれのちょっとしたプライド。
彼の評価に応えたくて、贔屓目だと言われることがないように、この五年間、彼の隣に立つのに相応しくありたくて、出来るだけの努力をしてきた。
やっと、一人前といえるだけの、大和と背を預けあえるだけの"何か"を身につけたと思えるようになった。それで来春からのジプスへの入局を決めた。
並び立つ"唯一"だと言って貰えるのは、おれをちゃんと認めてもらえているようで。こそばゆくて、同時にこの上なく幸せだった。
「くだらなくなんかない。不束なものですが、改めてよろしくお願いします。──おれの、局長」
「こちらこそ。お前を歓迎する。この五年間、輝きを増し続けるお前の側で、ずっと待っていた。私の、初」
ジプスの局員人数がそう多くなく、ここが余り人通りのない場所で本当に良かった。
迷いなく降りてきた大和の唇を、突き飛ばさずに受けることが出来たから。
目を閉じて受けた口づけは、まるで永遠の誓いみたいだと、少しだけ夢見がちなことを思った。
かくして、この春からジプス初の兎耳付き局員が誕生することになるわけだけれど。もしも誰かに笑われてもおれはきっとお揃いの制服を脱がない。
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