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デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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『ビター/スウィートバレンタイン』の後日談。
実力主義ED後、カップルとして出来上がっているウサミミとヤマトの甘ったるいホワイトデー話。
局長が微妙に不安定ですが、なんだかんだでいちゃいちゃしています。
寸止めっぽいですが続きません!(続いたとしてもこのブログには乗せられませんが)

バレンタイン書いたからホワイトデーもやるべきだな!ということで書いたはなしです。
あと、イベント案外楽しみだったり、ウサミミがいないと微妙に物足りなかったりするヤマトさんが書きたかった。
すこしはなれてみると相手の大事さが際立つというネタは王道ですよね…。

「ヤマトさん、今日はなんだか面白くないって顔をしているんですね」
 たまたま医療班からの報告を提出するべく執務室を訪れていた乙女の発言に、大和は眉を寄せた。本日も業務は一切滞りなく、乙女が提出した書類にも特筆するような事柄はない。よって、大和が気分を害するようなことは一切ない。乙女の指摘は的外れだ。そう、返そうとした時だった。
「そりゃ、アイツがいないからじゃないの、おトメさん」
 大和が何か言うより早く、横から口を挟んだのは史だった。
「そういえば、まだ彼は出張から帰ってきていなかったわね。真琴さんたちも一緒だし大丈夫だとは思うけど…」
「でも、今日で一週間でしょ。結構長引いてるから局長面白くないんじゃないの?」
 当人である大和を置いて勝手に話を進めるとはどういう了見なのだろうか。乙女がそれなら仕方ないと納得いった顔をしているのが余計に不可解であると大和は思う。
 史がこの部屋に居たのも偶然だ。先程まで、通信機器についての相談をしていた。その話に一段落つき、史が退室する直前に乙女がやってきたのだ。その時はまさか、このようなくだらない邪推と雑談の花が咲くことになるとは思っていなかったのだが。女が三人寄れば姦しいと書くが、二人でも充分なようだ。
「菅野、柳谷、くだらん詮索はそのあたりで切り上げないか。私は普段通りだ。何の問題も不都合もない。彼がほんの一週間留守にしているだけで、それがどうして私の不機嫌に繋がるというのだ」
 どこか微笑ましげである視線を乙女から(史はどこまでも面白がるような目である)向けられることに大和は堪えられなくなり、二人の会話を切り捨てた。
 そうだ。確かに、大和にとって無二の対等、誰にも代えがたい盟友であり──それ以上の存在でもある彼は、このジプス本局を留守にしている。
 北海道での大規模な悪魔の発生を感知した札幌支局からの要請に応えてのことだ。本局からは、迫真琴を初めとする戦闘能力に長けた人員も何人か彼に随伴している。定時連絡によれば悪魔の掃討自体は大きな被害もなく進行しているそうで、時間がかかっている主な原因は天候のようだ。討伐対象となる悪魔のデータも上がってきているが、数の多さが取り柄の低級悪魔ばかりであり、彼や迫たちの腕を持ってすればそうそう危険のなさそうな相手である。だから、特に心配はしていない。
 普段とてお互い多忙を極める身だ。毎日顔を合わせている訳ではないし、会えずに数日過ぎることなど珍しくもない。
 だから、彼がいないだけで、こんな、局内の空気が空々しいような、そんな心地がするのはまったくの気のせいであり、
「……ヤマトさん、ご自分では気づいてないんですね」
 胸の奥がざわつくような、寒いような感覚が消えないのは、菅野ともども退室する前に、柳谷が妙なことを言い残したりするから、それについて考えてしまったからだろう。そう、大和は己に言い聞かせていた。

 仮令、落ち着かなかろうとなんであろうと、職務に支障をきたすようでは局長として失格である。
 大和は普段通りに仕事を済ませ、特筆すべき問題も発生しなかったため定刻通り自室に引き上げた。
 寝支度を整え、寝台に腰を下ろす。就寝する前に明日の起床時間や予定について考えを巡らせた所で、そういえば明日は休日にしていたことを思い出した。正直なところ休暇など貰っても持て余すばかりなのだが、何故予定を入れたのか。
「……一ヶ月後を楽しみにしていろ。空けておけ、などと奴が言ったからだ」
 卓上に置かれた白いカレンダーに答が書き込まれていた。彼が持ち込んだ暦の、今日の日付に、3月14日に、普段のおおらかな印象からすると案外几帳面な筆跡で、丸とホワイトデーという文字が書き付けられている。
 一ヶ月前、2月14日。所謂バレンタインデイと呼ばれる日。俗世の習慣に阿るつもりはなかったが、彼がなんだか意気消沈しているようだったから、大和の方から何かしてやろうと思ったのが始まりだった。
 あの日にチョコレート菓子をくれてやったことは、予想以上に彼を喜ばせた。一月後には必ずお返しすると(日本におけるバレンタインとはそういうものらしい)そう大和に約束して、彼は暫くにこにこと機嫌がよかった。彼が嬉しそうに、楽しそうにしているのを見るのは悪くない。
 折につけ彼は世間に広まる俗な行事に大和を巻き込む。呆れるような、くだらない催しが殆どだが、彼が楽しそうだから、大和を楽しませようと、大和の世界を広げようとしているのだと解るから、そう嫌悪するばかりでもないと思いはじめていた。
 明日に休みをいれたのも、「ホワイトデーの夜は、翌日のことを気にせず、甘いもの食べながら、ゆっくり大和と過ごしたいな」等と彼が言ったから。
 しかし、考えてみれば、馬鹿らしい。お互い、休暇の予定など容易く潰れかねない、責任ある身だというのに。何を浮ついていたのか。
 今日の業務が終了する前に、札幌支局から討伐が無事終了した旨を報告されていたが、残務処理もある。彼が帰ってくるのは数日先になるだろう。
 ひとりで休暇を取ってもするべきことなど特に思いつかないし、身体は丸一日の休息を必要とするほど疲労が溜まっている訳でもない。
 明日は早くに起きて休日を返上し、何かしらの業務を回してもらうとしよう。彼に知られれば、またワーカホリックだとかうるさいかもしれないが、今回ばかりは責められる謂れはない。彼がいないのに、大和ひとりで、どう休日を潰せというのだ。
 勿論、彼が悪い訳でもない。わかっている。巡り合わせの問題に過ぎない。べつに、大和は浮足だった俗世の習慣など、どうでも良いのだから、こんなことに心を揺らす理由はない──はずだ。
 にもかかわらず、大和は深く溜め息を吐き出し、気付けば寝台に仰向けに寝転がっていた。落ち着かない。空々しい。もやもやとよく解らない感情が渦を巻き、澱のように重く、大和のなかに吹き溜っている。自分で自分の感情を把握できず、持て余すなど、本来あるまじきことであるはずなのに。
 名前を呼ぶ通る声、大和を映すあおい星のような瞳、悪戯な表情からやさしい笑顔まで、彼の面影ばかりが浮かんで消える。大和は思わず頭を抱えた。
 ああ、なんとも情けない、女々しい、我が儘で、どうしようもない、こどもじみた、感情。
 ここまできたら、流石の大和も認めざるをえない。
 ──私は、いま、さびしいと感じている。
 今日を、明日を、彼と過ごすことを、大和は自分で思うよりもたのしみにしていたのだ。
 これは唾棄すべき弱さだ。こんな脆弱な己を、誰にも、特に彼には知られるわけにはいかない。知られたくないと大和は思う。
 やはり明日は休みにしよう。大和は一度自分を見つめ直し、冷静になる必要があると考えた。
 そう決めた時に、寝台側に置いていた携帯電話が着信を告げた。 発信先を見れば、そこには今まさに大和を悩ませている彼の名前が表示されていた。
 律儀な彼のことだから、戻れないことを詫びるためにわざわざ電話をかけてくれたのだろう。
 声が聞きたい。だが、今彼と話をしたら、泣き言やどうしようもない我が儘を口にしてしまうかもしれない。あるいは、この自制できない感情を爆発させて彼に八つ当たりのようなことを言ってしまう可能性もある。
 大和はそんな風になる自分は許容したくなかったし、それ以上に遠く離れた不慣れな北の地で任務を果たしてきた彼に余計な心労をかけるような真似は絶対にしたくなかった。
 彼からの電話を無視することに、まったく痛痒がないといえば嘘になるが、今は出られるような心境ではなかった。
 着信音を聞かずにすむように掛け布を引っ被り、大和は外界から意識を遮断するべく目を瞑る。
 止まない呼び出し音に、ひしひしと罪悪感と自己嫌悪ばかりが募った。


+++


 それからどれ程時間が経ったのだろう。ぱらぱらと、雨に打たれるような感覚に意識が引き上げられる。
 だが、雨であるはずがない。ここは室内、私の部屋──そこまで考えたところで意識が飛んでいたと大和は自覚する。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。着信音は流石に止んでいたが、変わりに何故か、ぱらぱらと小粒の何かが、肌を叩く音と感触がする。
 おかしい。それになんだか、室内にひとの気配がする、ような。鍵はしっかりとかけたはずだ。物的霊的双方の施錠は容易く破れるはずがなく、強引に入ってきたなら部屋の主である大和が気づかぬはずがない。しかも、この霊力は覚えがある。否、それ以上に慣れ親しんでいる。
「…………!!」
 大和は信じられない思いですぐさま目を開けた。
 この部屋に、大和の私室に、無制限の出入りを許しているのはただひとりだけだ。ならば、今この部屋にいるのは──
「おはよう、大和」
 ぽかんと呆けたように目を見開いたまま固まってしまった大和の視界に映るのは、悪戯な笑みを浮かべた黒い癖毛の青年の姿。彼の特徴である兎の耳のような飾りがついた白いフードパーカーではなく、大和が普段羽織るものと同じデザインの黒外套を着ている以外は、大和のよく知っている相手そのもの。
 白い甘い匂いのする包みに入った飴玉を、何の戯れか幾つも幾つも雨のように、大和の上に、寝台にと撒きながら。大和が会いたくなくて、でも本当は会いたくて堪らなかった彼が、何時ものように気安く笑ってそこに佇んでいた。
「何故、なぜ、君がここに……?」
 これは夢かと思った。都合の良い夢想を無意識に作り出すくらい、いよいよ自分は駄目になったのだろうかと。
 だが、こつんと軽く大和の額を指で突き、間近で唇をとがらせる彼の姿は、夢というには生々しい。
「ご挨拶だな。残務処理をできるだけ早く済ませて、真琴さんたちに先んじて慌てて帰ってきたってのに」
「札幌からここまでどうやって…まさかターミナルを使ったのではあるまいな?」
 史が実用研究を続けてはいるが、未だ緊急時以外の運用を躊躇わせる程度には使用に金のかかる機器の名を上げると、彼は苦笑して首を横に振った。
「いや、確かにターミナル使えれば一瞬だけど、あれは私事で使うにはまだまだお金かかりすぎるだろ、流石に。…ってことで、仲魔に死ぬほど頑張って貰いました。後でたっぷり労う予定」
 足された説明によると、妖獣、魔獣、霊鳥など、高速機動を戦術の要に置く彼がストックしている仲魔をフル稼動して、ジプス専用車両が走る地下線路を全速力で駆け抜けてきたらしい。成る程、各局間を最短距離で結ぶ線路を、地上ではとても出すことのできない悪魔の最高速で走り続ければ、ごく短時間で札幌から大阪に帰還できてもおかしくはない。
「明日の朝にはそっちに帰るよって連絡したかったのに、大和電話に出ないし、なんかあったんじゃないかってすっごい慌てた。…それで予定を繰り上げてもうここにいるんだけど。珍しいな、大和が電話にも気づかない位眠り込んでるとか」
「……単なる不注意だ。私もまだまだ精進が足りん」
 彼が普段堅苦しいからとあまり好まないジプスの制服を身につけたままでいるのも、急いで任務先から戻り、大和の部屋に直参したことの証左だろう。
 慌てさせてしまったことを申し訳なく思うが、電話に出られなかった己の心境は、あまりにも不甲斐ないものであったから吐露できなかった。
 そんな大和の隠し事に気づいていないのか、それとも聡い彼のことだから気づいた上で触れないでいてくれるのか。解らなかったが、とにかく彼は気にしていない様子でゆっくりとかぶりを振った。
「おかげで夜が明ける前に帰ってこられたからいいよ。本当はできるだけ早く会いたかった。約束してたし、早く帰ってきたかった。大和は? …一週間くらいじゃ、俺に会いたくはならなかった?」
「…………あいたかった」
 素直な彼の物言いに引き出されたように、大和の唇からはぽろりと、留める暇もなく本音が零れ落ちた。そのことに大和自身も驚いていたが、取り繕う言葉は出てこない。それより早くに彼の腕が伸びてきて、強く大和を抱きすくめてきたからだ。
「組織のトップ、寂しがらせるとか絶対に褒められた話じゃないけど、ごめん。嬉しい」
 彼の声は言葉通り、心底嬉しそうだった。そんな顔を見てしまうと、弱さを見せるまいと、呆れられたくないと思い詰めていた自分が解けていくのを感じる。結局大和は彼に対しては隠し事をすることがとても難しいのだ。
「本当に、まったく、褒められた話ではないぞ。……君が戻るまでにこのような感情には整理をつけておくつもりだったのに。これは、弱さ、弱みだ」
「なら早く帰って来て良かった。俺は大和のそういう所も知りたいって思ってるんだから。それに俺が大和の弱みになるなら、その分俺の持ってる力をお前に捧げるよ。俺の強さは大和のために使う。これならプラスマイナスゼロじゃないか?」
 吐き捨てるように言うと、諭すように彼に真摯な目で覗き込まれてしまい、大和は困ってしまった。
「そういう問題では……これは、私自身で何とかしなければならぬことだ。こんな、少し君と離れたくらいで不安定になるなどと……」
 彼は自分の価値に対して過小評価が過ぎる。大和がどれだけのプラスを彼から貰っているかについて全く無自覚なのだ。だからこそ、寄りかかるだけのものには決してなるまいと思う。彼と対等、彼に見合うだけの強者で大和はあり続けたい。
「なら、弱さは切り捨てる? これ以上弱みになる前に俺と大和は離れた方がいいと思う?」
「!! …君は、私の答えがわかっていて、言っているだろう」
 意地の悪い言葉に、大和は思わず彼を睨みつけていた。だが、返された彼の視線はただ皮肉を言っただけにしては真摯なものだった。
「うん、分かってて言ってる。でも、そういう選択肢もあるのは大和もわかってるだろ」
「選ぶことのない選択肢など初めからないのと同じだ。少なくとも、私にとっては。君がいなければ今日という日も、今の私もない。君のいない未来など望むべくもない! だからそのような事は口にするな」
「大和、大和、煽ったのは俺だけど、……すっごく情熱的だな。ありがとう。……それを言うなら、俺だって、もし大和が離れるっていっても、俺の方が離せないし。離すつもり、ないし」
 きっぱりと宣言して見据えれば、照れくさいような、面ばゆいような表情を彼がする。それから囁かれた彼の言葉も充分情熱を帯びていると思う。紅潮しそうになる頬を隠して大和は彼の肩口に顔を埋めた。
「それでいい。だが、ほんの数日離れることがこんなにも堪えるというのが由々しき問題だというのは確かだ」
「なら、離れても大丈夫なくらいに縁を結んでおけばいいんじゃないか」
「足場を固めれば揺らがぬ、か。成る程、道理だ」
「そうそう。それに俺だって離れたら寂しいんだから、離れても大丈夫にする方法を考えるのは俺自身のためでもあるんだよ」
「……やはり君は時々私に甘すぎると思う」
「いいんだ、俺がそうしたいんだから」
 抱き締められたまま優しく寄せられた頬のぬくもりに満たされる。心に開いていた穴のような感覚が埋められて、でもすぐに物足りなくなる。手を伸ばして大和からも抱き返した。個と個であるからこそこうして寄り添うことが出来るのに、時々、大和には彼と己の間に肉体と言う境界があることさえもどかしく思えるときがある。
 大和の気持ちを汲んだように、彼はぴたりと身を寄せて体温を分け合うことだけに終始してくれた。そうして暫く寄り添ったまま、大和は彼の心音だけを聞いていたが、やがて、ふと彼が思い出したように口を開いた。
「そういえば、俺の贈り物は気に入ってくれた?」
「もしかして、始めに私を起こした時のことか。あれはなんだったのだ? 飴を私の上にばら撒いたりして」
「え。小さい頃憧れなかった? 絵本とかみたいに、空から飴とか、お菓子の雨が降ってこないかって。普通に起こすより、大和を驚かせようと思って、実践してみた」
「…子供か、君は」
 他愛のない悪戯が好きな、彼らしい発言だった。思わず笑うような呼気が大和の唇から零れると、つられたように彼も笑った。
「言っただろ。甘くて美味しいものをあげるって。この飴全部、大和へのプレゼントだよ」
 改めて周りを見回せば、結構な量の飴包が、寝台に敷かれたシーツのあちこちに星のように散らばっている。これだけ飴が転がっているということは、大和はどうやらなかなか起きなかったらしい。
「全部上げる。実際に食べても美味しいよ、ミルク飴。ほら、あーんして」
 彼の指が包み紙をするりと魔法のように素早く解き、白い丸い飴玉を差し出して来る。促されると反射的に口を開いてしまい、幼児のように与えられるまま飴を含んでしまったのが恥ずかしかったが、成る程、彼が薦めるだけあって濃厚だがしつこすぎない絶妙なバランスで、甘いミルクと砂糖の味わいが口のなかに広がる。
「美味い?」
「ん、甘くて…美味しい。君も、食べてみればいい」
 一ヶ月前の彼の真似事。今夜は大和の方からくちづけた。咥えたミルクの味がする飴玉が、重ねた唇の間で溶けて消えるまで、長く、深く接吻を交わして、互いの唇が漸く離れた時には息も心音も上がりきっている。
「…っは、…うん、おいしかった。けど、大和。あのさ、あんまり可愛いことすると、帰ってきたばっかりなのに、俺、したくなっちゃうんだけど」
「寧ろ、誘っているのだが? 飴玉もありがたく頂くが…きみも、欲しい」
 そっと欲望を打ち明けた彼に、大和は艶っぽい表情を浮かべて返す。彼が息を飲み込むのがわかった。
 口の中に残るミルクの甘みよりなお、目の前の彼の方がずっとあまい。その性質も、彼が触れて大和に残す感覚も。その甘さを、あめのように注いで欲しいと思う。
「君のくれるいちばん甘くて美味しいものを、もっと私に馳走してはくれないか」
 一週間の彼の不在は、やはり長かったようだ。優しい触れ合いだけでは充足しきれないものがある。それは彼も同じだったようで、二回目の口吸いは彼から施された。
「今物凄い誘い文句に口にしてるってわかってるのかな。いいよ。それじゃあ──お腹一杯になるまで召し上がれ?」
 彼の腕が大和の身体を抱き上げて、寝台の上へと浚った。コートを脱ぎ捨て大和に覆い被さる彼の背中越し、時計を見遣れば朝はまだ遠いが、恐らくここから先の時間はあっという間に過ぎ去るだろう。
 休日は恐らく無駄にならなさそうだと──降り注ぐ愛と熱情の予感に身の芯が甘く疼くのを感じながら。彼の帰還に心から安堵して、大和は目を閉じ、彼に身を任せた。

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