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デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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「ハロウィンを君と」の後日談というか祭りの方の本番というか。
ツイッターで垂れ流したが小話ってレベルじゃなくなってしまった。
割と内容飛ばし気味なんですがそれでも結構な長さ。まあいつものこと。
局長がお酒入ってふにゃふにゃになって甘えるというような話を、ツイッターで某方とお話ししてもえ狂い、折角なのでそんな感じで続けてみました。
ウサギがちょっとでばりすぎという気もする……。完全にウサミミさんの助手。


 どうしてこうなった。
 俺は目の前の現状に頭を抱えた。
 ほんのりと薄紅に染まった白い綺麗な顔、甘くとろんとうるんだ銀色の瞳。
 普段の凛と張りつめた姿からは想像できないような、おさなく緊張のほどけた表情の大和が、俺の膝に乗り上げて、しなだれかかっている。
 なかなか見せてくれない、完全に甘える姿勢だ。引きはがそうとするといやいやするから、はがそうにもはがせない。
「やまとー、お前今確実に酔ってるだろ」
「よって、ない」
 返す声も微妙に発音が怪しいというか舌っ足らずな響きだ。
「……いや、酔ってるだろ」
 俺はちょっと困った顔で、すぐ近くにある大和がこうなった原因を眺め見た。
 野外で飲み食いできるように設置された簡易テーブルの上に原因――ジャックランタンの顔のラベルが貼られたガラス瓶がある。問題は瓶そのものではなく中身のほうだ。
 硝子の中には半分ほど、甘そうなカボチャ色の液体が入っている。妖精がくれた、特別な飲み物。口にすれば甘くておいしくて疲れがとれた。ついつい杯も進んでしまったけど。
 身体に悪いものは入っていないそうだが、アルコールに近い働きをするナニカが入っていたみたいだ。
 ついさっきまでしゃんとしていた大和が今ではすっかりふにゃふにゃになって、外だというのにもかかわらず、俺にぴったりくっついて離れようとしない。どう見ても酩酊していますありがとうございました。
 幸いにして人目はない。何しろここは普段からまだ復興しておらず放置されている領域で、なおかつ今夜はこの世ならぬ世界への「門」が開き、神霊妖魔が祭りをしている。当然ながら何も知らない人間が迷いこまないように"人避け"がされていて、俺たちがここにいるのは元々巡回を兼ねての事だった。
 去年は世界がポラリスの審判から立ち直った直後で不安定。こういう催しもなかったのだという。それが一年あけて開かれたものだから、どこで行われている祭りも規模が派手になっている、と大和は言っていた。俺は今回が初見なので判別がつかないが、それでも大層にぎやかであることくらいはわかった。
 時に力を借り、時に敵として相対する悪魔たちが、ひとのまねごとのように夜店を開き、明かりを灯して祭りをしているというのは不思議な気持ちになった。祭りの会場内では、俺の知っている物と似ている物もあれば、まったく見知らぬ物もあって、その度あれは何かこれは何かと質問する俺に、大和は律儀に付き合ってくれた。
 途中で、今日脅かしの助手をしてくれていたイナバシロウサギたちに再会した。別れた後その足でそのままここに来たらしい。
 人間界のお菓子は珍重されるらしくて、お祭りで沢山交換できた、ぼすのおかげだと感謝されたり、でーと? でーと! などと囃されて大和がすごい顔をするのを宥めたりと賑やかしく楽しく過ぎた。
 人でないものたちの祭りを照らす明かりは、狐火や鬼火、あるいは燐光。何にしろこの世ならぬ明りで、夜の闇の中に浮き上がるそれらは幻想的で美しかった。
 ウサギたちがすすめる魔界の人参を使ったクッキーを食べたり、鬼火の入った南瓜の明りを片手に妖精たちの踊りを見物したりして終わるかと思った。
「今日は高位の悪魔の来臨もほぼないようであるし、このままなら何事もなく済みそうだな」
 大和も俺と同じように見立てていたようだ。いくらか騒ぎは見かけたが、小規模な喧嘩や小競り合いで悪魔たち同士で自主的に解決されるレベルのものだった。この分なら平和に一夜が明けそうだし、あとはお土産でも買って帰ろうかと話していたのだが。
 
 そうは問屋がおろさなかった。やはり祭りでテンションが上がって羽目を外すものがいたのだ。
 高位の悪魔がほぼいないと大和が言っていたが、裏を返せば抑止になれるような存在がいないということでもあるのだろう。
 酒かなにかでも入ったのだろうか。妖鬼邪霊の類が幾らか、普通でないテンションで結界を抜けて街へと繰り出そうとするのを、俺たちは見つけた。
「まずいね」
「さして力強い存在ではない、すぐに鎮圧されるだろうが。放っておけば被害が出る。市街地に出る前にケリをつけるぞ」
「酔っ払いの性質の悪いのみたいなものだけど悪魔だもんな。早めにおかえり願おうか」
 仮装したまま戦闘とか、あんまり見せられたものじゃないので、さっさと動いた。
 霊鳥を使って先回り。あとは大和の使う魔法の遠距離支援を受けて、俺が正面から切り崩して撃破。早々にご帰還いただく。比較的よく使う戦法だが、つまりそれだけ有効だからである。
 ただ、敵の中に炎を使う悪魔が混ざっていたからちょっと難儀した。セットしていた耐性で被害そのものは防いだけど、着ぐるみが焼けてしまったのだ。
「これじゃあ祭りの方には戻れないか」
 結構気に入っていたのもあってしょんぼりする。すっかり焼けウサギになってしまった着ぐるみを見下ろして、俺は少し憂鬱になった。
 もうちょっと大和と祭りを楽しんでみたかったのだけど。
 残念だと肩を落として口にしたら、どこで様子を見てたのか、二匹のイナバシロウサギが駆けてきた。手にはあの、昼に配っていたウサミミを持ってる。
「え。これつけたら大丈夫だって? いや流石にバレるんじゃないか?」
「よかろう。私がそこに術をかけてやる。そうすれば問題あるまい」
 ウサギたちの好意は嬉しかったけど、流石にバレるんじゃないかと思っていたら、大和が横から口を挟んできた。ウサギたちが持つ兎耳になにやらまじないをかけて、金色の光を注ぎ込む。
「これをつければ先程と同じように、他からは見える筈だ」
 幻影を見ぬいて声をかけてくるようなら高位の悪魔ということなので、その時はもう撒いて帰った方がいいと大和は言う。
 そこまでしてくれたのにウサミミをつけないというのも男が廃りそうなので、受け取って装着した。
「似合う?」
 軽く首を傾けて、黒いウサミミをひょこんと揺らしてみせると、「着ぐるみより良いかもしれんぞ」などと言って大和が笑う。
「大和も付ける? 俺とお揃いってことで」
 ウサギたちに目くばせすると、白い兎耳を取り出してきた。うん、素晴らしい以心伝心だ。大和が何か言うより早くに、俺は素早く彼の頭にウサミミをつけてしまう。
 大和の形の良い唇が反論を紡ぐ前に、更に先手を打つ。
「大和も似合うよ?」
 実際そう思ったことを口にして微笑みかけたら大和はむっつりと黙り込んだ。耳元が少し赤い。
「あと大和もその仮面とっちゃいなよ。それで俺にかけたのと同じ術をその耳にかければ?お前の顔がよく見えないのが不満だったんだ」
 お願いするように言うと大和はますます恥ずかしそうに目を伏せる。それから。
「私も、君の表情が見えないことには不満を感じていた」
 そっと、俺に内緒話を伝えるように口にする。可愛い。
 あまりにやにやするなと言いながらも、ウサギの耳はつけたまま、大和はこの祭りに来てからずっと変装のために着けていた仮面を取り外す。
 ほのかに紅潮した綺麗な顔が良く見える。ああ、やっぱりこの方がいい。
「それじゃあ、行こうか。暴走しようとしたのは派手に倒したし、同じ轍踏む奴はそう出てこないと思うけど」
「悪魔たちも愚かではない。今日のところは、騒ぎは起こさぬだろうさ。大半は、祭りにはしゃぐ無害なものばかりのようだしな」
 俺の仲魔でもあるイナバシロウサギたちを一瞥して、大和は俺の意見を肯定してくれた。

 そうして、大和とウサギたちと祭りをしている方に戻ったのだけれど。
 ここで知ったことだが、俺たちがはったおしたのは、界隈でもあまり評判のよくない荒くれ悪魔だったらしい。
 戻るともう倒された話が派手に広まっていた。見ない顔だけれど、よくやってくれたとばかりに歓迎されて、飲食物や花なんかを沢山もらってしまった。
 この展開は大和も想像していなかったみたいで少し驚いてたっけ。
 持って帰るにも量が多いから、いくらかはここで食べて帰ることにした。
 悪魔たちが騒いだり歌ったり飲み食いしてるテーブルの一角を借りて、あきらかに人間が食べるのには向かないもの(得体のしれない肉とか)はウサギたちや周りにどんどんおすそ分けに回して、平気そうだと見繕ったものを大和と一緒に食べる。
 自分たちの都合でやったことなんだけどいいのかなと思ったが、折角好意でくれたものを突き返すのも悪かったのでありがたくもらうことにした。
 そんなこんなで不思議な味の菓子と一緒にあの飲み物も口に運んだんだ。
 蜂蜜をといたみたいに甘いし、飲みやすいからジュースなんだと思ってカパカパあけたのがまずかった。
 夜風に冷えたからだがじんわり暖かくなるようだという辺りで気づくべきだったのに。
 途中から大和が機嫌よくくすくす笑い始めて、大丈夫かと声をかけた時にはもう遅かった。ぴったりくっついてきて離れようとしない。
 いや、すごく役得というか、普段ならなかなかしてくれないことだし嬉しいんだけど、ここ外だし、人目はないけど悪魔と仲魔の目が……と思ったら、手で目を隠してウサギたちは見ないフリ。周りの悪魔は囃す始末なのを考えると、随分とありがたい話ではあるんだが。前足の隙間からちらちら見てるのバレバレだよ?
 俺はちょっぴりため息を吐いた。膝に乗った体温、重みはとても心地よいから幸せな悩みではあるのだけど。
「いや、か?」
 その内、俺が困った顔をしているのが目についたのか、大和が眉を下げて見てくる。
「わたしが、きみに、こうしているのは、ふかい、か?」
 不安そうに聞くとか、ずるい。そんな顔されたら、
「嫌なわけないだろ。ちょっと恥ずかしいだけだよ」
 ぎゅうっと、周りから抱きしめて隠す以外の選択肢はない。うしろでひゅーっと歓声が上がったけど気にしない。気にしない。
 よしよしと慰めるように頭をなでてやると、大和は気持ちよさそうに目を細める。
 機嫌のいい、ぎんいろのねこみたいだ。頭に着けてるのがうさみみで、くっついて離れない辺りはさびしがりのうさぎみたい。
 何にしろ大和のこんな可愛いところは、ほかの誰かには見せたくない。 本人も後で思い返したら頭を打ち付けそうだし。。
 それに大和が無防備になってから、悪魔たちがちらちらこっちを見てる気もする。
 俺が目を離したらかどわかされるんじゃないだろうか……いや、この大和のべったり具合だと俺から離れたりしない限りはいなくなる心配はないけれど。
 何にしろ早めに連れ帰ったほうがよさそうだ。
「……大和、抱っこして帰るよ」
 普段なら恥ずかしがって絶対につきあってくれないだろうけれど、今の大和はすっかり理性の部分が酔いで麻痺して、甘えることに素直になってる。
「わかった。このまま、ちかくにいて、よいのだな」
 嬉しそうに、おとなしくうなずいて俺の首に捕まった。
 貰いものの飲み物や食べ物は、概ね皿に載せた分は互いの腹に収まって片付いていたけど、原因になった飲み物は飲みさしだからそれだけポケットにしまい、後は花を大和に持ってもらって、席を立つ。
 まだ手つかずで残っている分は、
「あとのこと、よろしく」
 ウサギたちにお願いした。イナバシロウサギたちはぴしっと片手をあげて敬礼のポーズで了解してくれた。今日はずいぶん頑張ってくれたから後日人参でも差し入れしよう。
 祭り自体もこの調子なら、あとは巡回しなくても大丈夫だろう。
「なんだか、今までの人生で経験したことのないハロウィンだったな。おつかれちゃん、大和」
 幸せそうな顔で俺の腕の中に納まっている恋人の額にキスを一つ。それ以上手を出さないように自分への飴玉にするつもりで。
 なのに、
「ほくと、くちには、しない……のか?」
 大和の方が不満そうな顔をするから弱る。理性を試されてるのじゃないかと言うくらいに、今の大和は欲望に正直で、危っかしい。
「……続きは後でね」
 すると花が咲くみたいにふわふわと笑うのが見えて、これで誘惑の意識がないのだから本当に罪深い。
 俺は彼を隠すように連れて、人外たちの祭り会場を足速に後にしたのだった。

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