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デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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『帰らずのセイリオス』の後日談。
前作に続き、実力主義ED後捏造で、キャラクターの死にネタ、死後を取り扱った話となっています。苦手な方はご注意下さい。
after1は、前作をアイディア主であるバリツ道場さんに送って読んで頂いた際の感想から再び発想を頂いて書いたものです。前作より後のヤマトさんの話。やはり薄暗い。
after2は、少々話としては蛇足かもしれませんが、更に後日、長い約束を交わした主人公と局長の、恐らく、いちばんさいごのおはなし。

二次創作の中くらいハッピーエンドで終わらせたい…とうっかり続いてしまった結果がこれです。
死にネタを書いておいて何をいわんやという感じですが。
あれだけ霊的なものが溢れている世界だから、たましいや死後もあっていいかな、と。
勿論、after2は、局長なりウサミミなりの末期のゆめという可能性もあるのですけれど。

表題は某楽曲のタイトルより。永遠に寄り添ってぼくらは生きていく。

 after1「夜蝶」


 柔らかな黒い癖毛。その下の、星のように輝くあおい瞳。
 笑った顔は少し悪戯を企む子供に似ていて、けれどその目は何時だって優しい。
 腕や足は細いくせに、手指は大きく確りとしていた。
 白い風変わりなパーカーの下の体躯は、細身に見えてその実筋肉がきちんとついている。
「大和」
 私の名前を呼ぶ柔らかいこえを好ましいと思っていた。
 夜の私室、他に誰も居ない場所で、仕方ないと笑い、おいでと広げられた腕。
 迎えられ、身を委ねれば、他では得られぬ安堵と充足がこの胸を満たす。彼の背へと腕を回して返し、胸元にそっと顔を寄せた。
「お前って、二人っきりのときは結構甘えただよな」
 からかうような言葉を、悔しいのに否定できなくて黙り込む私の髪を、彼の手が撫でてくれて。
 ひとつしか歳が違わないのに、子供のような扱いをされることに、相手がほかの人間であれば酷い侮辱だと怒りを覚えもするのに。
 彼は、彼だけは私にとって特別で、甘やかされることが、ほんのすこしだけ嬉しかった。
 気の迷いのような感覚。それは確かにささやかな幸福で、けれど、そっと頭を彼の掌に預けたところで、私は気付いてしまう。

「……。…これは、夢だ」

 ああ、そうだ。違う。彼の指はもっと、やさしいのに──つよく温かかった。 
 髪が乱れないような丁寧なばかりの触れ方でなく、何時だってもっと遠慮なく、私の髪の毛をくしゃくしゃとかき混ぜるように撫でていた。
 やめないかと口にする私に、お前の髪ってやわらかくって触り心地がいいからぐしゃぐしゃしたくなる、だなんて彼は笑っていた。
 そんな、戯れのような遣り取りを、目の前の青年は紡がない。
 その理由を私は解かっている。なぜなら、今私を抱くこの『彼』は、よく出来た紛い物に過ぎないからだ。
 青いまなざしがもういいのかと問うように私に向けられている。
 現実を思い出してなお、自分の作り上げた夢想に浸りきることは私にはできない。
 定義者の意を汲んだように、泡沫の夢はぱちんとはじける。『彼』の姿は一瞬で元の龍脈へと還り、虚空に解けて掻き消える。
 贋物だと理解していても消える瞬間を余り見たくはなくて、私はきつく目を瞑った。

 龍脈は純粋な概念の塊である。定義すれば、主の望む姿かたちを取る。
 その特性を利用すれば、思い描く人間ひとり再現することなど造作もなかった。
 もっとも、魂という、その者をその者たらしめる輝きだけは、万能の龍脈をもってしても模倣することは不可能であったが。
 何時もこうだ。記憶を元に、彼を再現しようとしても些細な違和感で破綻してしまう。
 どんなにそれらしく繕って、彼の言動をトレースしてみせても、本物にはけしてなりえない。
 所詮虚しい、一人遊びだ。空虚さばかりが降り積もる。
 慰めを求めてしまう自分はひどく愚かで滑稽だろうと理解している。
 かつてほど必要とされる事態は減ったとはいえ、それでも貴重な力である龍脈をこのような私事に使うのは褒められたことではない。

 それでも、時折、耐えられなくなる。
 彼が、私の記憶の中にしかいないことに、どうしようもない、空疎と寂寥を覚えて叫びだしてしまいそうになる。
 さりとて狂うわけには行かなくて、私は約束を放棄できなくて。
 縋る何かが欲しくて、私はそんな時を龍脈をもって『彼』を呼んでしまう。
 そこに彼は宿らないと、解かっているのに。
 本物を、取り戻すことを考えたことがないとはいわない。
 だが、古今、反魂を望んだものは尽く、生者と死者の絶対の断絶を思い知らされて終わった。
 取り戻しかけてまた喪うなら、あるいは彼という存在が蘇生によってゆがむことには、私は恐らく耐えられないだろう。
 彼は共に過ごしたそう長くはない日々の中で、それでも沢山のことを私に教えてくれたが、最後に教えてくれた事柄は決して知りたいものではなかった。
 さびしいという言葉の意味を、こんなにも深く理解したくなどなかったのに。
 出会いから数日で、彼は私のなかで大きな存在になった。
 この胸に深くどこまでも根を張り、なのにあまりにもあっけなく遠くへいった。
 約束が埋める心中は、それでも埋めきれない空ろに、果てなくひえる。
「……、……」
 君の名前を呼ぶ声は夜の闇に溶けて、どこへも行けはしない。届かない。

 ──私自身も、また。





 あいたい。あいたい。ああ、いたい。
 心臓をもがれた魂は、今宵もこの世のどこにもいない、あおい星を呼び続ける。留まり、澱み、こいつづける。
 いつか、いつかの終わりの日。約束が、果たされるまで。


+++


 after2「Night on the Galactic Railroad」


 ──よう、久しぶり。

 迎えに来た。
 思ったより早かったな。いや、大和には充分長かったか。
 三十年、四十年? ほんとよく頑張った。
 そんな顔するなよ。泣きたいのか、怒りたいのか、どっちなんだ?
 あーあ、折角のきれいな顔がぐしゃぐしゃだ。
 …まあ、沢山ないてくれていいんだけどな。
 普段は偉そうで冷静で歳相応の顔なんてどこかに置いてきたって感じで。
 でも、俺といる時は案外泣き虫で甘えたで感情豊かだったお前が、ひとりぼっちで、泣きもしないで最後までやりきったんだから。
 誰かそれを知るヤツはいたかな。大和は意地っ張りだから、見せなかったかな。
 うるさいって? 言いたい事が沢山あるって? 奇遇だな、俺もだよ。

 ありがとう。
 ずっと約束を守ってくれて。ずっと世界を守ってくれて。ずっとずっと俺を忘れないでくれて。
 ひどい約束をして縛った身勝手な男のことなんて、忘れちゃっても良かったのにな。
 俺って本当にお前に愛されてたんだなあって、ずっと見てたよ。
 うん、俺が思ってたよりずっと、お前って俺のこと大好きだったんだな。
 見縊るなって? そこらの連中の軟な想い方と一緒にするなって?
 …ごめん。
 色々、たぶん、甘く見てた。
 寂しい、辛い思いばっかりさせたな。

 …もういいって? 俺も約束を果たしたから帳消し?
 情けない顔の君なんか見たくないって?
 ハハ、そいつはどうも。うん。待ってたよ。
 俺だってお前のことずっとずっと待ってた。あいたかった。
 でも、お前は多分、責任感が強いからいろんなものを放り投げられないだろうし、一緒に来いなんていえなかったよ。
 道連れになんかしたくなかった。できなかった。でも、崩れて欲しくなかったし、忘れられるのも嫌だった。
 それに、お前が世界が変わるまで見られなかった、沢山のものを見て欲しいとも思ってたよ。
 どうだった。寂しいばかりじゃなかったら、いいんだけど。
 聞かせてくれよ。言いたい事、言いたかった事、全部。
 ここからは時間なんて幾らだってあるんだから。 
 次に向かうところが何処かは知らないけどさ。
 気に入らなかったらまた、あの時みたいに、ふたりで世界を変えてみせようか。
 俺とお前と揃ったら、割となんだって出来るだろ。

 …な、大和。
 また約束をしよう。別れるときも約束したよな。
 それをお互い果たして、こうしてまた会えたんだから、次は別の約束をしたいんだ。
 ひどい約束じゃない。しあわせな約束をしよう。
 今度はもう置いていかない。ほんとうに、俺たち、お互いのたましいのおしまいまでずっと一緒にいよう。
 どこまでも連れ立って歩いていこう。こうやって、手を繋いでさ。

 …永遠なんて何処にもないと思ってた、不確かであやふやものを、俺はお前のお陰で信じられそうなんだ。



 望み焦がれたその先で、ながい約束は果たされた。
 流れ流れて遠ざかった、ぎんいろの星は彼の腕の中に。あおい星は輝いて、行く末をまた照らすだろう。

 
 これは、星の海の果てで見る、おわらないゆめのはなし。

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