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デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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これ以上連載物はいまかいてるものが全部かき終わるまでは増やさないぞと心に決めていたのですが、アニメの展開が原作のウサミミと大和が好きな身としては衝撃的だったので突発的に書きはじめてしまいました。
俺得、アニサバに前の周回があったら、というか何度もループして繰り返していたらという捏造妄想です。
アニメの流れに乗っかって書いてますがこうだったらいいのにな、こうしてくれたらよかったのにな、という改変を大量に含んでいるため、純粋にアニメのデビサバ2が好きな方にはおすすめできません。すみません。
じんわりヤマヒビかヒビヤマな感じ。アニメ9話までの段階でプロット切ったので今見ると色々おかしいところもあると思いますが、そういうパラレルということでご容赦ください。
あと、書いてる人間が人間なので、ヒビキくんもヤマトさんもどうにもゲームっぽい気がします。
グロではありませんが、キャラクターの四肢が欠損している描写を含みます。苦手な方はご注意ください。

注意点だらけですがそれでもおけという心の広い方のみどうぞ。


 災厄の始まりから、4日目の深夜、ジプス東京支局。
 水の流れる音が、照明が最低限に絞られた廊下に響く。
 音源は、奥まった位置にある手洗い、その洗面台からだった。
 ざあざあと水道水が流れていくなかに、血交じりの咳の音が入り混じる。
 流れていく水はうすあかい。人気のないその場所で、すべて洗い流してしまおうとするように、声をできる限り抑えて血を吐く主は、銀の髪と紫の瞳の――凛然とした少年だった。
 彼、大和の顔色はもとより抜けるように白いが、今は血の気も失せてますます青ざめ、死人のようだ。
 整った柳眉を寄せて、大和は苦しげに何度か息を吐く。ようよう吐血が収まりかけたに思えたがまた白い洗面台に赤が散った。
 日中の、セプテントリオン――東京を襲ったメグレズとの戦闘において、龍脈を用いたことの代価が大和の現状だった。
 龍脈の行使が肉体を損なうことなど峰津院大和はよく心得ていた。それでも、東京は大和ひとりで抑えるほかはなかったのだ。大阪と名古屋に割く人員をこれ以上減らすわけにはいかなかった。 
 それでも、東京は大和ひとりで抑えるほかはなかったのだ。大阪と名古屋に割く人員をこれ以上減らすわけにはいかなかった。
 久世響希を配置した大阪はまだしも、名古屋には極端に突出した能力を持つサモナーはいない。
 ゆえにこそ一番おおくの人員を置いたのだ。多少なりとサモナーたちのなかに被害は出るだろうが、最終的にメグレズを処理できるならば構わない。
 そう、考えていたのだが。
(まさか、ああ動かれるとはな)
 小さくせき込んだところで、明るく青くかがやく瞳が脳裏をかすめる。
 大和には解せない理で動く少年。彼のことを考えた、その時だった。
「ヤマト…?」
 不意にかけられた声に大和は口元をぬぐい、洗面台にもたれかかっていた身を起こす。
 大和に声をかけたその相手こそ、今ちょうど大和が思い浮かべていた少年、久世響希そのひとだった。
 まさかこの時間、この場所に響希がとおりすがるなどなんとも間の悪いことだと大和は内心舌打ちをした。
「どうした、響希」
 努めて冷静に、常の冷やかさで大和は不調をつくろい、手洗い場の入り口から顔を見せた黒いくせ毛の少年をしずかに見据える。
 大和の手袋には血の色が残っていたが、構わなかった。
 なぜなら、いまの久世響希は目が見えないのだから。
 確実に被害が出ると踏んでいた名古屋の盤面を響希はひっくり返して見せた。その代償だった。
 名古屋のサモナーたち――栗木ロナウド・秋江譲・柳谷乙女、彼らの死に顔動画が届いた瞬間、響希は己の仲魔を志島大地に託して大阪を任せ、ターミナルで単身名古屋に飛んだのだ。
 本来サモナーの有する悪魔は携帯間で融通できるものではないが、ニカイア経由で配られた召喚アプリにはそのような機能があるらしい。一定以上の友好関係にあるもの――縁

と称されるものが結ばれた悪魔使いの間でのみ機能するという悪魔添付機能。それを用いて、響希は大地に己の代わりを務めさせた。
 朱雀を大地のもとに残し、白虎を伴って名古屋に移った響希は、ロナウドたちと協力して名古屋のメグレズを追い詰め、東京・大阪とタイミングを合わせて撃破することにも成功した。
 そして、メグレズの最後のあがき、死に顔動画の光景に差し掛かった時、響希は己の悪魔を盾として、時間を作った。
 伴亜衣梨が、瞬間移動に等しい跳躍能力を有する魔獣種の悪魔ケット・シーを再召喚し、その能力を行使するに足る時間を。
 結果として爆風により重軽傷の被害は出たし、本来の積載人数の倍以上を抱えて移動すると言う限界を超えた悪魔の使役で、亜衣梨は寝込む羽目になったが、それでも死に顔動画が告知した死の運命は覆された。
 名古屋に参戦したサモナーは全員が帰還し、東京・大阪もまた死者は出ていない。
 一番被害が大きかったのは響希本人だろう。誰よりもメグレズの飛ばした芽に対する矢面に立った彼は、爆光に目を灼かれた。
 戻ってすぐの、乙女の見立てによれば、時間をおけば回復する見込みもあるかもしれないが、この試練の七日間の間に彼の目が光を取り戻すことはないだろう、と。
 只でさえ生き残るのが難しい状況なのだ。絶望してもおかしくない。だが、響希はそんな現実をあっさりと受け入れた。みんなの命が助かったなら安いものだよ、と笑って。
 志島大地はそんな響希の自己を顧みない姿に憤ったが、響希に救われた面々の消沈した様子を見ればそれ以上強くは言えなかったようだ。
 周りは彼に休むようにと言い聞かせたが、響希は首を横に振った。なんとか知覚を補って俺もまだ戦うといって聞かなかったのだ。
 響希の携帯は珍しいことに音声認識の機能を有していたので、確かにアプリの使用に支障はなかった。
 ついで、響希は、己の霊力的に常時召喚しても問題ない悪魔を、大地に手伝ってもらいながらオークションで選び、側につけることにしたようだ。
 響希の肩の上で、くりくりとした赤い瞳を輝かせ、長い耳をふるわせて辺りを警戒しているイナバシロウサギがそうだ。
 召喚アプリを介して呼びだされた悪魔とサモナーとの間には少なからずリンクがあるものだが、響希はその同調を高めて、イナバシロウサギを己の耳目としている。
 とはいえ、完全なものではなく、今の響希の視界はやや不明瞭で色がないそうだ。
 水洗所内は暗く、白黒でものを見ている今の響希では、視覚的に大和の異変に気づくことは難しいだろう。
 だから、声さえ繕ってしまえば気づかれない、はずだ。
「明日以降のセプテントリオンの話、聞いておこうと思って」
「ほう、殊勝なことだな」
「でも、タイミング悪かったかな。大和、調子悪いんじゃないか」
 そこで息をのんでしまうほど峰津院大和は腹芸ができない人間ではない。
「そのような気遣いは不要だ」
 お前の見間違いだろうと、言外に圧力を込めたが、響希はそこで困ったように笑う。
「今の俺は、あんまりよく物が見えないけど……その分、聞こえちゃうんだ。大和の脈拍とか呼吸がおかしいってこと。なあ、それってひとりで戦ったからなのか?」
「…………」
「龍脈を使って、ひとりでメグレズをなんとかしたって聞いたよ。……俺も大概だけど、大和も無茶するな」
「貴様にだけは言われたくない。黄金の王子像を気取ってでもいるつもりか、久世響希」
 大和の視線が険しくなる。目の前の少年は本当に不可解な存在だった。
 その能力は申し分ない。サモナーとしての優秀さは大和にも迫る。だというのに。
「それってオスカー・ワイルドの幸せの王子? いや、別に好き好んで自分を切り売りしてるつもりはないんだけど……」
 嘘を言うなと大和は思う。時に久世響希という少年は、そう望んででもいるかのように、かを救うために己を投げ出すことに躊躇ない人間だった。
 名古屋で盲いたばかりではない。
 大阪では、自分をかばった和久井啓太を助けようとして左腕を失くしている。今、響希の白いパーカーの左袖は動きに合わせて頼りなく揺れるばかりだ。
 健康診断の折、運悪く新田維緒が両親の死を知ってしまい、支局を衝動的に飛び出していったところで、彼女は折悪く携帯の暴走による悪魔の襲撃に巻き込まれた。それを探しに行った響希は、その戦闘において維緒をかばった。彼の背中は、その時火を使う悪魔の攻撃を受けて焼けただれている。
 それでも響希に後悔はないようだった。幼馴染の大地は気が気ではないようだが、自分の身を削ってでも誰かの命を救えた時、響希は泣きそうに笑う。
 まるで贖罪を果たした罪びとのようだ。多くのものを失っているというのに、志の運命を乗り越えることができたことを純粋に喜び、彼はなんとも晴れやかな顔をする。
 大和からすれば彼の行いは愚かだ。その実力を、情に溺れ弱者のために身体を損なった愚か者として切り捨ててしまうことはたやすい。
 だが、そうとも言い切れないのかもしれなかった。響希が失った分、彼がその手で助けた相手は彼の力になろうとしている。和久井啓太は、九条緋那子と共に大阪での戦闘にて奮戦し、不慣れな悪魔をどうにかコントロールしていた志島大地を随分援護したようだ。
 くわえて、今もって久世響希は大和を除けば知りうる限り最強のサモナーであることに揺るぎはなかった。元来悪魔の使役に必要とされるのは、霊力の高さと悪魔を扱うにたる意思。 
 であればこそ、四肢を欠けさせるとも、目から光を失うとも、響希のつよさはまだ失われていない。彼は闘おうと、抗おうとする意思を失くしていないからだ。彼が進もうとする限り、悪魔は彼の力となるのだろう。
 そんな響希の姿は、大和の胸に奇妙なさざめきを生み出す。
 それが苛立ちなのか、戸惑いなのか、あるいはもっと別の何かなのかは大和にも測りかねたし、峰津院大和は感情に振り回され事をよしとする人間ではない。だから、その度胸の奥に沈めてきた。 その感覚がまた兆しそうだった。
「大和、ごまかすなよ。俺の事はいいんだ。今は君の話をしてる」
 やはりこれは苛立ちなのかもしれない。大和はかすかに眉を顰めさせる。
「だまれ。例えばお前の言うように私が身体を損なっていたとしてどうだというのだ。この審判を生き残るため必要な手を打った。それだけだ」
 これ以上はなしても無駄でしかない。そう判断して大和は響希の脇を抜けようとした。
「……大和は本当に弱みをみせようとしないんだな」
 なのに叶わず、そこに引き留めてきたのは、大和のコートの裾を捕まえた響希の手と――それ以上に彼の視線だった。
 漸く片腕になった身体のバランスに慣れつつあるような相手だ。振りほどくことなど容易い。だが、こちらをむいた響希の、盲いていることがしんじられないほど透き通った青い瞳が、複雑な感情をたたえて大和を見ていた。
 そんなものに足をとめるような情けは、大和には本来ないはずであるのに。
 時折響希が見せる奇妙な陰が、その青色の中にまた見え隠れする。市井のごく普通の家庭に育った少年であるとは思えないような老成、幾度も絶望をくぐりぬけてきたかのような薄暗く、深淵とした陰。それが大和の足を引いた。
 立ち止まって振り返った大和と響希の視線が交差した。一泊の沈黙をおいて、響希がくちを開く。
「無理をするな、とはいわないよ。俺が言っても説得力ないしね。無理をしないと救えないもの、護れないものがあることも知ってるから」
 実際響希こそそうして他人を救ってきたのだ。
「だけど、気付いたから。知ったから。大和もそうやって苦しみながら戦ってるんだって。忘れないよ。……がんばったね」
「ほざけ。私は私のなすべきことをはたしているだけだ」
「じゃあ、ありがとう、かな。東京、大和が一人で守ってくれてたから、無茶もできたわけだし」
「ほざけと言っている。黙れと言わなければ口を閉じないのか」
 やさしい、やわらかい声で告げられると胸の中のざわつきが大きくなる。
 だから釘をさすように大和はぎろりと紫眼で響希を睨み付けた。
 だが考えてみればこの少年の視界は随分と制限されているのだった。睥睨に意味のない事を思い出し、大和は唇をかむ。
「貴様こそ負傷者なのだからさっさと医局へ戻れ。セプテントリオンの資料は届けさせる。後は適当なものに読みあげさせれいい。……くれぐれも今夜見たことは口外するな」
 人の口に戸は立てられない。響希にその気がなくとも、大和の不調が局内に広まることになっては、士気と統率に関わる。峰津院大和は容易く揺らぐ存在であってはならないのだ。
「じゃあ、俺口止め料が欲しいな」
 大和のコートから手を放しながら、響希が、彼らしくもない事を口にする。
「どういう意味だ」
 金銭になどもはや意味はあるまい。ならばこそ意図を測りかねた大和に、響希は応えを返す。
「見たこと、誰にも言わない。広めたりしない。だから、代わりに……俺は大和ともう少し話がしたい。お茶とか入れてくれると嬉しいんだけど?」
 その暢気とふてぶてしさを混ぜ合わせたような肝の太い発言に、久世響希という人間に対する評価と感想を改めるべきかもしれない。大和は、その紫電の双眸を、珍しくも丸く大きく見開いてしまったのだった。 


 

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