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デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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「Soul Engage」の12年後のひとつの可能性。独自特異設定、捏造過多。苦手な方はご遠慮ください。
ピクシブに「Soul Engage」を再録するにあたって再会を加筆しようとおもったところ、なんかすごく長くなりそうだったので、ちぎって独立させて続き物にしました。
ツイッターでanyさんに頂いた感想とその時にさせて頂いた会話がアイディア元です。再度お礼を申し上げます!
ウサミミさんが結構チート。データは多分周回している。名前は出ていないですが宇佐見北斗です。
作中で出ている零落した霊的名家の血を引いている云々、は、割と初期から脳内にあった設定ですが、普段のうさみみはこんなかっ飛んだことにはなっていません。フツミミです。

 
 俺たちが放り込まれた今の状況は、ただの自然の災害じゃない。
 死に顔動画、ニカイア、悪魔、召喚アプリ。
 どれも超自然ものだろうという当たりだけはついていた。普通ならあり得ないものばかりだ。
 危険なものかもしれない。それでも、これはこの災厄を乗り切るためのものなのだと思う。
 ひとを、多少強引にでも生かそうとする、可能性をあたえようとするなにがしかの意志が透けて見える。
 真相はわからなくても、生き残るために使えるものは何でも使うつもりだった。
 だって、まだ死ねない。俺の命は、俺だけのものではないからだ。
 この命は、魂は、誰より大切なあの子と、ずっとつながっている。
 俺が生きている限りあの子も生きているとわかる。家族とすら連絡が取れないこの状況だ(父さんは外国なので余計にどうなっているか分からない。無事で居て欲しいけど)。そのなかでも、あの子の安否は確認できて本当に良かった。

 ひとつだけ、ものすごく不謹慎だけれど期待してしまうことがあった。
 あの子は霊的に国を守る仕事をしている、はずだ。
 だから、この常識を超えた危機の中では表に出てきているかもしれないと思った。
 もしそうなら、どこかで会えるだろうか。会えるなら会いたい。 

 俺はもう一度、どうしてもあの子に会いたかった。

 約束しているからだけじゃない。

 あの子を、大和を、ひとりのままにしておきたくない。
 前にあった時とちがって、今はさびしくないならいい。俺のこの気持ちが余計なお世話になるならその方が、ずっと。
 でも、そうじゃないなら、どんなかたちでも、少しだけでもいいから俺が力になろうって、傍に居ようって、あの時から決めていたんだ。

 ***

 色々あって偶然にも共闘した、政府の組織に属する女性――真琴さんに案内されてやってきたのは、国会議事堂の地下。
 そこに存在していた広大な施設に、大地も新田さんも驚きを隠せなかったようだが、俺自身はそうではなかった。
 なぜなら、知っていたから。秘密裏に、霊的な力をもってこの国の守護を担う存在が、組織があることを俺はずっと前から知っていた。

 そもそも俺の家も、遠い昔にはそういったお役目に関わる血筋だったらしい。
 異能の力は代を重ねるごとに薄れて、俺が生まれるまではほぼ消えてしまったかに思われていたそうだが。
 それでも、神秘の知識は多少なりと伝わっていて、民間の協力者というものが役立つこともあるからと、現役の守護職との、細々としたつながりも残されていた。

 六歳にもならない未だ幼い時に、俺があの子――ヤマトに引き合わされたのも、その伝手を通して見いだされたからに他ならない。
 霊的な契約で結び合わされた伴侶。常に命の危機が日常に潜む彼の、命のスペアとして。
 俺は、何人かいたらしい候補たちの中で一番、あの子と魂や霊力の相性が良かったのだそうだ。
 家が、神秘の側にあっては零落しきり影響力がほぼない、というのも、都合がよかったようである。
 秘密裏に国を守る名家の嫡男にとって弱みとも強みとも成り得る存在を血族から輩出する、というのはある種アドバンテージとなりうるから。そうして生まれる争いを阻止するという意味では、落ちぶれきってなんの力も、同時に野望も持ちようのない家の子供を使うのが、一番角の立たないやり方だったのだ。
 何処の世界であっても、人間は派閥抗争やら権力の奪い合いというものから無縁ではいられないらしい。
 下手につながりを利用しようなどと考えないように、二度と会わさないと決められていた。市井に生きるものと国の闇に生きるもの、互いのために関わるべきではない、と。
 そうして俺は、本当ならあの子に関わる全部の記憶を洗い流されて、自分が誰かと命を繋いだということなど忘れて生きていくはずだった。実際そう望まれていた。
 でも、嫌だった。忘れたくなかった。会いに行くと、約束した。
 俺は、自分の命があの子の役に立つならそれでもいいと思えるくらいに、不思議できれいで強くて――でもどこか寂しさの影を負った、彼のことが、好きになったから。
 恋は理屈じゃない。六歳になる前に俺は、自分の一生をあげてもいいと思える相手に出会ってしまった。

 俺は、なんとかまた彼に会えないか、近づけないかって、あの時の約束を嘘にしないために子供なりの頭で考えた。
 最終的に、元々父さんにあの見合い話を持ち込んだ、じいちゃんばあちゃんを頼った。勿論、馬鹿正直にあの子に会いたい、なんていったわけじゃない。
 大和と魂が結び合わさったからなのか、それともいろいろ教えて貰ったことがきっかけになったのか、その両方かはわからないが、見合い以降、俺は自分のなかで霊的な資質というものが開いたのを感じていた。
 家に帰されてから、今まで見えなかったものが容易に見えるようになっていた。
 そのことを相談する、という形から入って、俺は、家に伝わっていた神秘の知識を、祖父母に習い身に着けていった。
 高校に入る頃二人が亡くなってからは、田舎の倉ごと俺に残されていた古い文献を少しずつ読み解いて独力で学んだ。
 祖父は知識は豊かだったけれど霊力のほとんどない人で、実践で俺の心身をしごいてくれたのは、たまたま若いころ恐山でイタコをしていたっていうばあちゃんのほうだった。
 お前は生まれる時代を間違えたね、なんて言われたので、筋は多分よかったんだろう。所謂霊能力者と呼ばれる人間が身に着けているだろうことは、中学に上がる頃にはできるようになっていた。
 霊力を高めることは、つながりのある大和の助けになるからなのかどうなのかはわからないが、おそらく監視の目があるだろうことは間違いないのに、俺がそういう神秘の側に首を突っ込むことは、誰にも止められることはなかった。

 霊的な国防機関が存在する話は、じいちゃんばあちゃんから聞いた。大和の家が、その組織と関わりがあるということは勝手に調べた。
 俺がその機関を束ねる一族の子供とつながりがある件については記憶が失われている(ことになっている)ので、触れられなかったからだ。
 その名前はまるで、記すこと自体が禁忌であるみたいに、ひっそりと仕舞い込まれた資料の片隅に少しだけあった。
 峰津院家。地に流れる龍脈を御して操り、また、他とは比べ物にならない強力な神魔を使役して、国を守る影の存在だと。

 思ったよりも日本という国は、日常的に霊的脅威に脅かされているのだ。その事は、神秘の知識を身に着けるにしたがって肌でわかるようになった。
 でも、そういうものを感じたり、何とかできる人間というのは年々減っている。 
 目に見えないものを、ひとはなかなか信じられなくなった。
 国を必死に守っても認められることのない、影に徹するしかない人たちのことを、あの子のことを、俺は思う。
 機密として守られているその存在は、例えば世に明るみに出ても今では信じて貰えないだろう。胡散臭いとか詐欺だとか排斥されるかもしれない。確かに存在して、俺たちの暮らしを、生きている場所を守ってくれているというのに。
 だから、俺は感謝する。届かないなんてわかっているけれど、それでも、こうやって平和に暮らしている陰に、戦っている人たちがいることを、俺は知っているんだから。そのことを、忘れないために。

 時間はかかると思う。それでも、俺はまず力をつけようって決めていた。
 霊的な能力が高い人間って言うのは、今や貴重になっているから、在野にいることが放っておけない位の人材になれば声がかかるかもしれない。
 殆ど賭けだ。でもなにもしないでいるよりはいい。俺はあの子に約束したから、会いに行くよ、立派な大人になるよって。
 勉強や運動にも手を抜いてない。あるいは国家中枢にかかわるくらいの政治家を目指すのも手だと思っているから、、そういう方面に明るい進路を選ぶことも視野に入れている。 
 霊的な修行と二足のわらじだから結構大変だけど、俺よりあの子の方がきっともっと大変だ。そう思うと頑張れた。
   
 お前ってゆるーくみえて、実はずっと成績はいいよなあとは幼馴染の大地の弁だ。ありがとう。
 けど、俺が霊能修行をしているってことは、家が隣で付き合いの長い大地にも内緒だ。
 気のいい幼馴染はまさか、俺がオカルトに思いっきり脚を突っ込んでいるなんて思いもしないだろう。
 大地はひとがいいからなのか、ひそかに霊力があるからなのか、知らずによく性質の悪い霊を憑けていることがあって、実は俺が何度かこっそり祓っていたんだけど。

 こんな事態になってみてわかったことだが、一応、俺の今までの積み重ねは無駄ではなかったらしい。
 召喚アプリは俺たちの能力も可視化してくれている。確認したら、その数字が結構なものになっていた。
 それに、悪魔も。
 二人にも真琴さんにも言っていないけれど、はじめから何体か、異常に高いレベルの仲魔が、俺の携帯には登録されていたのだ。
 呼び出してもしも制御できなかった、なんてことになったら大惨事だから、いざという時の最終手段と決めてはいるが。
 真琴さんに警戒されてしまっても困る。怪我をしてしまった新田さんの手当をかって出てくれたことといい、ありがたいし、すごく良い人なんだっていうことは解る。
 この人になら明かした方がいいのかなとも考えるんだけど、万が一を思うと悩ましい。

 俺がようやくつかんだあの子につながる手がかりかもしれないんだ。
 真琴さんを初めて見たときにもしかしてと思ったが、目の前の施設を見てああ、やっぱりそうなのかと納得がいった。

 あの子はここにいるんだと思う。何の根拠もないことじゃない。

 此処に近づくにしたがって、湧き上がってくるものがあった。昂揚。歓喜。
 地下に降りてからはなおのこと強く、胸が――いやもっと深くにある魂とか、命とか、俺の存在の核とでもいえばいいのか、そういうものがふるえて仕方ない。
 ずっと、ずっと別たれていたもの、大切な存在にもう直ぐ会える。そういう予感が、あった。
 駆け出したくなるのを懸命にこらえる。連れてきてくれた真琴さんを困らせたり、不審に思われてはいけない。
 ここに、あの子がいるなら、なおのこと俺は慎重にならないといけない。
 そう思っていたのだけれど。

 不意に向こうに見えてきた誰かの姿に、俺ははっと息を呑みこんだ。

 淡く紫がかった美しい銀色の髪とひとみに、幼心の初恋の君が重なる。
 記憶のなかよりも大人びた、だがかつての面影も確かに残っている白い貌。
 背はしなやかに高く伸びて、金色の装飾が縁どる黒い長いコートがよく似合っている。
 俺がかつて約束を交わしたあの子は、以前に夢に見た遠い未来の姿で、今俺の前に立っていた。

 果たして俺は、彼の隣に立つのにふさわしい人間になれただろうか?
 彼の眼には、俺はどんな風に映っているだろうか。
 そもそも、今もあの時の約束を、覚えていてくれるんだろうか。

 俺は覚えている。忘れていない。交わした約束を果たせる時を、ずっとずっと心待ちにして、できる限りのことを積み上げてきたんだよ。

 この胸が震えて互いに共振するような感覚を、彼もきっと感じたのだろう。
 白く整った面がこちらを向く。切れ長の水晶みたいな目が、俺の姿を視止めて――長い睫毛を震わせて何度も瞬く。
 彼のくちびるが動いて、何事かを口にするより早くに、俺の方が先に動いていた。

 これからすることは、多分この場にいる全員の度肝を抜くんだろうって、俺には分かっていた。
 でも、もう自重とか慎重と言う言葉は俺の中から吹き飛んでいた。
 
 俺は駆け寄る。行く手に表れた彼の方に。

「大和」

 名前を呼ぶと、彼が息を呑みこんだのがわかった。
 反応してくれた。よかった。これで人違いだったら笑えないから。
 もっとも、間違うはずはない。魂が知っていた。
「偶然、運命……どっちでもいいや。ひさしぶり。ほら、また会えた。会いに行くって言ってた形とちょっと変わっちゃったけど、ずっと会いたかった。会えて、うれしい。俺、大きくなっても忘れなかったよ」
 視線が合ったところで笑いかけた。そうしたら、ヤマトもまた記憶のなかみたいに綺麗に笑ってくれないかなってそう思ったんだ。

 だけど、 

「何の話をしている? 誰と勘違いしているのかは知らないが、随分となれなれしい男だな」
 はっきりとこちらを見た大和の銀眼がすうっと一気に冷えて、絶対零度の刃みたいに鋭く細まる。記憶の中より落ち着いて低くなった声も冷え切っていた。
 俺は頭をハンマーで殴られたみたいな大きな衝撃を受けた。
 大和のほうが、俺のこと忘れてる?
 わすれないって、そう、大和もいってくれたのに。
「否、この魂の震え……そうか、貴様は私の……。だが、何故私のことが解る? 記憶は洗浄させたはずだが……」
 俺が応えを口にできないでいる間に、大和は冷たい目で不審そうに俺をじろじろと眺めまわしていたが――すぐに処遇を決めたみたいだった。
「まあいい。この状況で下手に動き回られては不都合だ。確保しておくとしよう」
 大和が俺の方に向けて一歩踏み出したと思った次の瞬間、みぞおちを重い衝撃が貫いた。

 大地や新田さんが、俺のことを心配している声が聞こえた気がした。ああ、ごめん、ね。

 でも、どうして? なんで? わかんないよ。
 やっと、会えたのに。
 言いたかった言葉は何ひとつ形にならなくて、のばそうとした手は何処にも届かずに。


 ――俺の意識そのままふつりと断ち切られて闇に沈んだ。

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