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デビルサバイバー2(主ヤマ時々ヤマ主)中心女性向けテキストブログです。
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デビサバ2のソーシャルゲームをプレイしているのですが、これがキャラクターカードを手に入れるためにレアピースというものを奪い合う形になっておりまして。
このレアピースが○○の魂という感じになっているのです。で、4月現在、久世響希くんの魂をプレイヤーは奪い合っているわけなのですが…。
そこから、魂がばらばらになって身体が抜け殻になり眠り続けているうさみみさん(身体は局長が保護)というアイディアを清里さんから頂き、ちょっとパラレル的に書いてみました。

実際のソシャゲの中ではヒビキくんはバリバリふつうに活動してらっしゃるので、この魂というのはまあ情報の塊的なナニカであり、本人に影響はないみたいですが。
ようは、ソシャゲの舞台設定(気が付いたら東京風の謎の異世界に迷いこんだ)や魂が断片化しているという状況にもえて書いた小話です。雰囲気をおたのしみください…。


 施設内の医局、その最奥で、運び込まれた彼は眠ったまま目を覚まさないでいる。
 異世界に迷い込んだ際に、彼の魂魄は剥がれあちこちに散らばってしまった。ここにあるのは抜け殻たる身体だけ。
 見立ての通り、保護されてから彼は一度も目を覚まさず、細い管を何本も繋がれ健康を外的に維持された状態で眠り続けている。
 
 魂が抜け落ちているといっても――あるいはだからこそ余計に――肉体が霊的素養に満ち溢れ、魅力的であることに違いはない。悪魔や雑霊の類にかどわかされぬよう幾重にも結界を張ってこの部屋を守った。
 人の出入りも極端に制限している。彼を守るため、そう理由をつけて。自由にこの場所に入ることができるのは、結界を張ったものであり彼の状態をよく把握している大和だけだ。

 機器の音だけが支配する静かな部屋の中に足を踏み入れる。ごく近くまで歩み寄っても、寝台から起き上がる気配はない。
 代謝も呼吸も極端に低下した彼の顔は冷たく青ざめて、本来健康的な肌色が日を忘れて白く透けつつある。
 大和は寝台の傍に膝を折ると、眠ったままの少年の手を取った。ひやりとしたまるで死体のような手触り。暖かな体温を持っていた彼にはまるで似つかわしくない。
 それでもかすかにとくとくと脈打つ鼓動が、彼が生きていることを知らせている。大和は苦々しく眉を寄せた。
 このような状態になった彼を、切り捨てることもまた一つの選択である。だが、選ばなかった。彼が元に戻るならば、その可能性を切り捨てることこそこの上もない損害であると理由をつけて。

 彼が眠りに落ちてから、胸の中で渦巻く嵐のような、よどみのような、形容しがたい感覚の名前と意味を大和は知らない。
 人形のような彼に、どれほどの意味があるか。早く目を開けろと苛立たしく思う。こんな、眠り続けるだけの姫君のような姿は、お前にはふさわしくないのだと。
 軋るほど強くその腕を握りしめても、彼は痛みを訴えることさえない。大和はやがて彼から手を放した。そして、コートの隠しから硝子の小瓶を取り出す。
 瓶の中には青くきらめく星のような欠片が幾つも入っている。集めた彼の魂、その断片だ。これを肉体に戻せば、少しずつ彼は覚醒に近づいていく。――筈である。
 いまだ集めることのできた欠片は十分ではない。それでもわずかずつ快方に向かっているのは確かである。医師にも調べさせた。
 とはいえ今の彼にこれを飲ませることは容易ではない。だから大和はひとつの手段をとる。自分が欠片を口に含むと、眠り姫の唇に唇を重ねた。口移しで魂のかけらを与える。するとほんの少しだけ彼の顔に色が戻り、体温が高くなる。 
「早く」
 唇を離した大和は眉を下げて呟いた。
「はやく、もどってこい」
 彼の声が聞きたいのだと、生きた青い目が見たいのだと。隣にいて――ほしいのだと。己の渇望にまだ気づかぬままに。
 大和は目を伏せ、もう一度彼の手を握りしめる。そうして、おいていかれた子供のように、彼の名前を繰り返し繰り返し、呼んだ。

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